送還のグレタさん イスラエル批判
2025/06/11 (水曜日)
イスラエルから送還のグレタさん パリの空港で会見「私たちは公海上で拉致された」
2025年6月10日、パレスチナ自治区ガザへの物資搬送を目的とした支援船が公海上でイスラエル海軍に拿捕され、乗船していたスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(22歳)ら計12人が拘束されました。翌日、彼女らは国外退去処分を受け、フランス・パリのシャルル・ド・ゴール空港に送還されました。
到着ロビーで行われた会見で、グレタさんは「私たちは国際水域で拉致された」と強く非難しました。彼女はイスラエルが長年続くガザ封鎖を打破するための平和的行動を試みただけであり、法律を犯していないと主張。「不法入国を認める文書への署名を拒否した」と述べ、拘束の不当性を訴えました。
支援船は9日未明、ガザ西方の公海上でイスラエル海軍に包囲され、武装兵によって強制的に乗り移られました。国際海洋法では公海上における拿捕は原則禁止されており、グレタさんは「私たちは海上で船ごと拉致された」と表現しました。イスラエル側は人道支援船の安全確認と称していますが、国際法上の正当性に疑問が残ります。
イスラエル国内に留め置かれた他の支援船乗員について、グレタさんは「いまだに拘束が続いている」と報告。即時解放と公正な法的手続きを求めるとともに、人道支援活動に携わる海外市民への抑圧的対応を批判しました。
米国のドナルド・トランプ前大統領は今回の行動を「宣伝目的のパフォーマンス」と揶揄しましたが、グレタさんは「世界には若い怒れる女性がもっと必要だ」と反論。政治的批判を笑い飛ばしつつ、自らの使命感を改めて示しました。
欧米各国のメディアは公海上拿捕を「衝撃的」と報じ、国際人権団体もイスラエル政府を強く非難しました。類似の事例として、2024年にトルコの救援船が地中海でリビア当局に拿捕された事件があり、国際司法裁判所(ICJ)はこれを違法と認定しています。
2007年以来、イスラエルはガザ地区への海上封鎖を続けており、物資搬入は通商港を経由するか限定的な陸路のみとなっています。国連などは封鎖解除を度々要請しており、今回の支援船派遣は人道的危機への警鐘として位置づけられています。
グレタさんは「今回の拘束に屈せず、引き続き気候正義と人権を訴える」と述べ、帰国後も国際舞台での発言を継続する意向を示しました。一方で、支援船を今後どのように運航するか、安全確保と法的対策が大きな課題となります。
グレタ・トゥンベリさんらの公海上拉致事件は、国際法と人道支援活動の狭間で起きた重大な人権問題です。今後、国際社会がいかに法的調査と政治的圧力を行使し、人道支援の自由を保証するかが問われています。
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