発生確率0.001% 「幻」のメロン
2025/06/12 (木曜日)
出合える確率0・001% 「幻」メロン、糖度は20超 茨城のJA直売所で販売
日本一のメロン産地として知られる茨城県鉾田市のJA茨城旭村特産物直売所「サングリーン旭」で、「幻(まぼろし)」の名を冠する糖度20度超の超高糖度メロンが店頭に並んで話題を呼んでいます。出現確率はわずか0.001%以下、1シーズンに数玉しかお目にかかれないことから“幻のメロン”と呼ばれ、1玉2万円という高額にもかかわらず、自分へのご褒美や贈答用として例年以上の人気を集めています。
「幻」と名付けられたメロンは、直売所に並ぶ春メロン(品種:オトメ、アンデス、クインシー、エルソル)の中で、厳格に糖度が20度以上と判定されたもののみを指します。2025年5月末時点で店頭に並んだのはわずか6玉。出現確率は0.001%を下回るという極度の希少性が魅力です。
今年の春メロン出荷量は既に100万玉を超えていますが、光センサーによる選果を経て「幻」となるのはわずか数玉。確率に換算すると25万分の1から100万分の1程度とされ、文字通り“宝くじ級”の希少性を誇ります(テレビ朝日『スーパーJチャンネル』)。
「幻」を生み出す基盤となるのが、JAが2004年に稼働させた最新鋭の「光センサー選果施設」です。コンベアで運ばれてくるメロンを一粒ずつ光学的にスキャンし、表面の色調やサイズだけでなく、内部の糖度・成熟度を非破壊で測定。糖度18度以上は「極」、20度以上は「幻」とランク分けされ、各玉にQRコードを貼付して出荷される仕組みです(日本農業新聞)。
従来、糖度16度以上を「輝(かがやき)」、18度以上を「極(きわみ)」とし、それぞれ出現率は「輝」が約5%、「極」が約1%でした。その上を行く「幻」は、糖度20度以上で初めて商品化され、桐箱入り・専用ラッピングで販売されます。これにより「高級メロン」のマーケットが拡大し、直売所のブランディングにも大きく貢献しています。
「幻」メロンは1玉2万円(税込)と高額ながら、店頭で見つけると即座に売り切れる人気ぶりです。金額を抑えつつ極上の味わいを求める消費者向けに、糖度18度以上の「極」を1玉7,000~8,000円で販売。同店店長の川上秀樹氏は「幻に出合えただけでラッキー。極もすぐ完売してしまう昨今、地域外から訪れるファンも多い」と話しています。
同様の高糖度フルーツ市場では、静岡県の「クラウンメロン」や熊本県の「肥後グリーンメロン」が有名ですが、いずれも糖度15~16度が基準であり、20度を超える極超高糖度レベルは全国的にも稀です。また北海道のメロン産地でも糖度選果を導入していますが、光センサーによる非破壊測定とQR管理を組み合わせた取り組みは他に類例がありません。
鉾田市は昭和40年代からメロン栽培が盛んで、JA茨城旭村は地域振興策として選果施設の整備や販路開拓を進めてきました。2011年の東日本大震災後は、農家とJAが一体となった品質管理・ブランド戦略を強化。糖度基準の設定やギフト向け商品化で、全国有数の“高級メロン産地”として地位を確立してきました。
出合える確率わずか0.001%の「幻」メロンは、最新技術と徹底した品質管理によって誕生した茨城鉾田の“奇跡の一玉”です。希少性と高糖度を武器に、国内外の高級フルーツ市場での存在感を増しつつあり、今後は技術革新やデジタル化を通じてさらなるブランド強化と地域経済の活性化が期待されます。季節限定の“幻”との出会いを求め、多くのファンが直売所を訪れています。
出典:日本農業新聞(2025年6月12日)、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』(2025年5月20日)、茨城県ホームページ(2025年5月7日)
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