六花亭のカステラにカビ発生で自主回収──約3,400本に及ぶ包装不良問題の全貌
北海道を代表する菓子メーカー「六花亭(ろっかてい)」が製造したカステラ製品に、製造後の包装不良が原因とみられるカビの発生が相次ぎ、約3,400本を自主回収すると発表しました。客先から「開封したらカビが生えていた」「異臭がする」といった問い合わせが数多く寄せられたことから発覚し、同社では原因究明と再発防止策の策定に全力を挙げています。本記事では、発生経緯から回収対応、顧客の反応、品質管理体制の見直しまで、今回の問題に関する詳細をまとめました。
発生の経緯と自主回収の決定
2025年6月上旬、複数の販売店から「六花亭のカステラの一部で、購入後数日経った製品に緑色のカビが見られる」との報告が寄せられました。これを受けて六花亭は直ちに当該ロットの製造工程や包装工程を調査。製造ラインでは異常は検出されなかったものの、包装機のシール強度が一部で規定を下回っていたことが判明しました。この包装不良により、外気中の微量なカビ胞子がパッケージ内に侵入し、製品の保管中にカビが発生したとみられます。
六花亭は「お客様に安心して召し上がっていただくことが最優先」との判断から、対象となる製造番号を特定し、6月15日付で約3,400本を自主回収すると発表。該当商品をお持ちのお客様には、店頭での交換または返金対応を案内しています。
自主回収対象のカステラ製品と該当ロット
回収対象となるのは、2025年5月1日から5月10日にかけて製造・出荷された「六花亭極上カステラ」(10切れ入り)です。包装の外側に記載された製造番号「GC250501~GC250510」が該当します。購入店やオンラインショップにて同一ロットの製品をお持ちの場合は、商品の回収窓口である六花亭直営店および取扱販売店で対応が可能です。
お客様からの問い合わせと対応窓口
自主回収発表後、六花亭コールセンターには問い合わせが殺到しました。特に高齢者層からは「いつも信頼して買っていたのに残念だ」「子どもに安全なものを食べさせたい」といった声が多く、自社ウェブサイト上でも謝罪文と回収手順を詳しく掲載しています。コールセンターの受付時間は平日9:00〜17:00、専用フリーダイヤルにて対応中です。返金または交換を希望する場合は、製品と購入証明(レシートや領収書)を持参のうえ、最寄りの販売店にお問い合わせください。
包装不良の原因と再発防止策
六花亭は調査報告書において、包装工程で利用している自動シーリング機の一部部品が摩耗し、シール圧力が低下したことを主因と分析しました。この結果として包装の気密性が損なわれ、微小な隙間からカビ胞子が侵入したと考えられます。
再発防止策として同社は以下の項目を実施します。
- シーリング機全台の部品交換およびシール強度検査の頻度を現行の月1回から週1回へ増加
- 包装後製品の抜き取り検査を強化し、気密性の確認にエアリークテスターを導入
- 製造ライン担当者への作業手順再教育とマニュアルの見直し、社内監査体制の強化
- 品質保証部門による外部専門機関との共同検証プロジェクト立ち上げ
六花亭の品質管理体制とこれまでの取り組み
六花亭はこれまでも品質管理を徹底し、原材料の選定から製造・包装・流通まで一貫した管理体制を整えてきました。北海道産の卵や小麦、北海道産バターを使用し、防腐剤を極力使わないナチュラル志向の商品開発を行う一方で、最新の工場設備を導入し、ISO9001認証を取得しています。しかし、今回の事案は包装工程における部分的な点検不足が招いたものであり、同社では「品質第一の信念に立ち返り、全社一丸で信頼回復に努める」としています。
消費者への影響と市場への波紋
自主回収は一時的に製品供給に影響を及ぼすものの、六花亭では生産体制の見直しと追加増産により、他ロットへの影響を最小限に抑える計画です。菓子市場では消費者の安全志向が高まる中、同社の迅速な対応がブランドイメージの維持に寄与するとの見方もあります。一方で、一連の報道を受けて競合各社では品質アピールを強化し、消費者動向の注視が続いています。
まとめと展望
六花亭のカステラ自主回収は、包装不良という製造工程上の問題が引き金となりましたが、同社の迅速な原因究明と対応策発表は評価に値します。今後は新たな検査体制の下で製品の安全性をさらに高めるとともに、消費者への情報発信を強化し、信頼回復に取り組むことが求められます。北海道の菓子文化を牽引してきた六花亭が、この試練を乗り越え、より一層品質管理を徹底した製品提供を続けることに期待が寄せられています。
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