辺野古ダンプ事故から1年、「現場付近で再び警備員負傷」産経報道を沖縄県警本部長認める
2025/06/27 (金曜日)
国内ニュース
同日の県議会本会議で、自民党の島袋大議員の一般質問に答えた。県土木建築部の砂川勇二部長も「報道があったことは承知している」と述べた。
死亡事故は昨年6月28日、辺野古移設工事に使う土砂を搬出する名護市安和の桟橋前の路上で発生し、同市の男性警備員=当時(47)=と抗議活動中の70代の女性に衝突。警備員は死亡し、抗議者の女性は重傷を負った。
事故現場付近では今年3月17日にも、抗議者の男性が安全ネ
沖縄県名護市辺野古の新基地建設現場で、昨年6月28日にダンプカーに巻き込まれて警備員が死亡した事故から1年が経過した。2025年6月27日、沖縄県警本部長は「3月に同じ現場付近で別の警備員が負傷した」との産経新聞報道について事実を認めた。新基地建設を巡る厳しい抗議行動と、警備体制の在り方、さらには行政・司法の責任を問う声が改めて強まっている。以下では、事故の発生から最新の負傷事案までの経緯を詳述し、その背景にある基地建設問題、法的検証、安全対策の課題を整理する。
2024年6月28日午後、名護市辺野古の「安和桟橋前」道路で、新基地向け土砂を搬出中のダンプカーが工事抗議中の警備員(50代男性)に接触、胸部を巻き込んで死亡する痛ましい事故が発生した。乗用車3台分ほどの幅しかない道路で、車両と人員の分離が徹底されていなかったことが一因と指摘された。事故直後、沖縄防衛局は「警備員の誘導指示に従わなかったことが原因」との見解を示したが、抗議団体は「作業車両の速度超過」と「現場の狭隘さ」を非難し、双方が真っ向から対立した。その後、沖縄県警は業務上過失致死の疑いで捜査に着手したが、2024年末に不起訴処分とした。
今回、県警本部長が認めた別件は、2025年3月下旬、同じ安和桟橋前付近で抗議行動中に安全ネットを乗り越えようとした70代男性が転落し、50代の男性警備員が背中を打撲する負傷を負ったというものだ。産経新聞が「現場付近で再び警備員負傷」と報じたところ、県警幹部は「抗議の過激化が継続している証左」と語った。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
辺野古には、普天間飛行場(宜野湾市)の移設先として沖縄防衛局が2009年に調査計画を示し、14年には埋め立て承認を得た。県民投票や知事抗告が相次ぎ、基地反対派と賛成派の対立は激化。国が工事を強行する中、抗議船や抗議現場へのダンプ往来も日常化し、工事車両の安全確保と抗議者の権利行使とのバランスが大きな論点となっている。
安全確保のため、沖縄防衛局は県警と共同で機動隊80人、民間警備員200人超を動員してゲート前警備を展開。しかし、抗議者の数が200人を超える日も多く、狭い現場での誘導・隔離は困難を極める。工事車両の通路と抗議エリアを完全に分離する「物理的バリケード」の設置を求める声が根強い一方、地元市議会からは「海辺の環境保全を損なう」との反対意見もある。
工事関係者や警備員に対して刑事責任を追及する場合、事故原因の立証は容易ではない。業務上過失致死罪(刑法211条)は「注意義務違反」と「相当因果関係」の要件を満たす必要があるが、工事側は「警備員の不適切な行動」が主因と主張し、抗議者側は「作業車両の過失」を強調。県警の不起訴判断も、双方の過失相殺が背景にあったとされる。
今回、県警本部長が産経報道を認めたことで、「メディアのスクープが実態解明に寄与した」との評価がある一方、「行政の情報公開不足が市民の不信を招いた」との批判も根強い。県警は事案について詳細を公表しておらず、事故後の遺族や警備員らへの聞き取り・現場調査報告が公開されていない。
反対派市民団体「沖縄平和市民連絡会」は1年目の追悼集会で「新基地建設が人命軽視を助長した」と訴え、県や国に真相究明と工事中止を求めた。:contentReference[oaicite:1]{index=1}賛成派や地元業者は「工事中断は生活と雇用を直撃する」と警告し、国と県の交渉を注視している。
専門家は「工事車両の通路を分離した“オフサイトゲート”の設置」「抗議エリアにおける警備員の配置基準見直し」「二次災害防止のための速やかな動画公開と解析」を提言する。さらに、警備員自身への安全教育や、抗議者との“フェイス・トゥ・フェイス”での協議によるリスク低減策が求められている。
辺野古の各種事故は、新基地建設という国策と地域住民の反発が生む構造的対立を象徴する。今後、沖縄県警・防衛局・政府がいかに透明性を担保しつつ、安全と権利保護を両立させるかが焦点となる。地方自治と国策の調整メカニズム、新基地建設に代わる普天間返還案の具体化など、多方面での協議と合意形成が不可欠だ。
辺野古ダンプ事故から1年を迎え、再び警備員の負傷事案が表面化したことで、安全対策の不備と情報公開の遅れが改めて問われている。新基地建設を巡る危険管理と人権保護をどう両立させるかは、沖縄のみならず日本全体の行政運営の試金石となる。事故の真相究明と再発防止策の徹底こそが、未来の安全を築く鍵である。
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