<独自>クルド人ら川口の警察署内で騒ぎ 県議らの車を追いかけ怒声、市庁舎にも警官出動 「移民」と日本人
2025/06/06 (金曜日)
埼玉県川口市の県警武南署の敷地内で今月2日、県議や市議らの車をトルコの少数民族クルド人ら4~5人が取り囲んで怒声を浴びせる騒ぎがあった。県議らが市内の解体資材置き場周辺を一般道から視察中、クルド人の車に追いかけられ、同署へ避難したところ追ってきたという。クルド人らは翌日には川口市議会事務局を訪れ、同行していた市議への面会を求めるうちに激高、市役所内に警察官約10人が駆けつける騒ぎも起きた。
2025年6月2日午後4時頃、埼玉県川口市内の一般道から民間の解体資材置き場を視察していた高木功介県議(自民党)や川口市議ら超党派の議員有志数名が、突然クルド人とみられる4~5名の車両に追尾され、駐車場内まで取り囲まれる騒ぎが起きた。議員が武南署に避難すると、当該車両の一部が敷地内にまで侵入し、「降りろ!」「税金で動き回るな!」などと大声で罵声を浴びせた。その翌日には同一とみられるクルド人2名が川口市役所議会事務局を訪れ、面会を要求し市職員に詰め寄るトラブルが発生し、警察官約10名が出動した。
川口市は東京近郊の住宅地として高度経済成長期から人口が増加し、近年は外国人住民も増加。特に芝園団地周辺には中国人労働者や留学生が多く居住し、自治会長との意見交換など、多文化共生の課題が市議会でも取り上げられていた。
今回トラブルの中心となった解体資材置き場は、トルコ系クルド人とみられる少数民族が経営。日本におけるクルド人は政変や迫害を逃れ難民認定を求める例が多いが、法的保護を得にくいケースも少なくない。こうした事情から、雇用や居住環境を巡る摩擦が起きやすい。
クルド人は中東にまたがるトルコ・イラン・イラク・シリアの少数民族で、長年にわたり自治や民族的権利を求めてきた。日本には1980年代以降、学術研修や国際結婚、難民申請を通じて少数ながら移住。日本での難民認定率は極めて低く、さまざまな法的制約の中で就労や生活基盤を模索している。
今回の視察は、川口市議有志が外国人問題(雇用実態・居住状況・安全対策)を学ぶために企画。自治会長への聞き取りや現地視察を通じ、多文化共生のための制度整備や治安対策の必要性を議論する狙いがあった。しかし、対象地域で商業活動を行う外国人当事者の反発を招き、議会の「説明責任」や「公開性」の在り方が問われている。
議会議員による公開調査は行政チェックの一環だが、対象住民のプライバシーや営業権を侵害しない配慮が必要。公開性と事前通告、住民への説明責任が重要となる。
治安維持のための警察対応強化と、マイノリティ保護の両立が課題。警察は速やかな対応と被害者支援、外国人向け情報提供を充実させる必要がある。
・事前通告の徹底:議員視察は対象企業・住民に事前に日時や目的を通知し、理解を得るべき。
・多言語相談窓口:外国人住民が行政や議会に意見を伝えやすい体制(通訳手配や多言語Webサイトなど)の整備。
・共生プログラムの拡充:住民同士の交流イベントや地域清掃活動を通じ、外国人と日本人の相互理解を深める。
・警察との連携強化:トラブル発生時の通報フロー整備や、外国人向けの安全教育・防犯講座の実施。
埼玉県川口市で起きたクルド人とのトラブルは、議会による外国人問題調査と住民側の「告知なしの視察」が衝突した結果と言える。多文化共生を進めるには、議会・行政・警察・地域住民が「事前説明」「情報共有」「交流促進」を協力して進めることが不可欠だ。民主主義社会の中で住民の安全と少数者の権利を守りつつ、地域課題解決に向けた建設的な対話の場をいかに創出するかが今後のカギとなる。
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