与党 現金給付1人3～4万円案浮上
与党 現金給付1人3～4万円案浮上
2025/06/10 (火曜日)
政府・与党が物価高対策として検討中の現金給付策を巡り、1人当たりの給付額を3万～4万円とする案が浮上していることが分かった。低所得者には増額することも検討しており、財源となる税収の上振れ額などを見極
イントロダクション
2025年6月11日、政府・与党は物価高対策の一環として、国民1人当たり3万～4万円の一律現金給付案を検討中であることが判明した。低所得世帯にはさらに給付額を増額する方針も示されており、財源は2024年度の税収上振れ分を活用する見通しである。【出典：毎日新聞／朝日新聞】
物価高・インフレの背景
2025年4月の全国消費者物価指数（CPI）は前年同月比3.6％上昇、生鮮食品を除くコアCPIは3.5％上昇となり、日本銀行の物価目標2％を大きく上回っている。エネルギーや食料品の価格上昇が家計を直撃し、実質的な所得減少感が広がっている。【出典：総務省統計局／Bloomberg】
過去の現金給付の事例
2020年、新型コロナウイルス対応として実施された「特別定額給付金」では、全国民に一律10万円を給付し、総予算は約12兆円に達した。しかし、給付金の大半は貯蓄に回ったとの分析もある【出典：Wikipedia】。また2025年4月には一律5万円給付案が検討されたが、「ばらまき批判」を受け見送られた経緯がある【出典：朝日新聞】。
現給付案の概要
今回検討されている案は、国民全員に3万～4万円を一律給付し、低所得層には給付額をさらに増額するというもの。給付方法は現金もしくはマイナポイントを想定し、支給手続きを簡素化することで迅速な給付を目指す。詳細な所得制限の有無や給付時期などは今後の検討会議で詰められる予定である。【出典：毎日新聞／テレビ朝日】
財源となる税収上振れ分
政府は2024年度の税収が当初予算の69.6兆円から約3.8兆円上振れし、73.4兆円に達すると見込んでいる。この上振れ分を財源とし、赤字国債の追加発行を抑制しつつ給付策を実施する方針である。【出典：Reuters】
選挙スケジュールとの関係
東京都議会議員選挙は6月13日告示、6月22日投票で実施される予定である。一方、参議院議員通常選挙は任期満了日の7月28日に基づき、憲法第32条により6月28日から7月27日の間に行われる見通しで、正式な公示日は6月下旬に決定される予定である。給付案の発表時期が選挙戦と重なることで、政策効果と「選挙対策」の批判が交錯する可能性がある。【出典：東京都選挙管理委員会／参議院事務局】
国内の歴史的事例：地域振興券
1999年に実施された地域振興券では、一定条件を満たした世帯に総額2万円分の消費専用券を配布した結果、受領者の約99.6％が消費に用い、給付額の約32％がGDP押し上げ効果を生んだと推計されている【出典：Wikipedia】。この成功事例からは、対象を限定すれば効率的な消費刺激が可能であることが示唆される。
海外の現金給付事例
- アメリカでは2020年のCARES法に基づき、個人あたり1,200ドルの現金給付を行い、景気下支えに寄与したが、支給額の多くが貯蓄に回ったとの分析もある【出典：Wikipedia】 。
- その他、欧州各国でもエネルギー価格高騰対策として一時的現金給付や公共料金補助が実施され、対象絞込みの有効性が議論されている。
経済効果と課題
野村総合研究所の試算によれば、全国民に一律5万円を給付した場合でもGDP押し上げ効果は約0.25％にとどまるとされ、一時的所得は貯蓄に回る傾向が強い。エコノミスト・門倉貴史氏も「一時的な所得は消費刺激に乏しく、2020年給付金の約7割が貯蓄に回った」と指摘している【出典：note／imasaラニュース】。これらの事実は、所得制限や対象絞込みの必要性を示唆している。
将来展望と政策的示唆
本給付案は短期的な家計支援策として有効だが、持続的なインフレ抑制策にはつながらない。最低賃金引き上げやエネルギー価格安定化策、社会保障制度改革との併用が求められる。また、給付後の補正予算編成や税制調整が不可欠であり、中長期的な財政健全性の確保が重要となる。
結論
政府・与党が検討する現金給付策は、物価高騰下での緊急的な下支え策として注目される一方、対象範囲や給付額の決定、財源の持続可能性など多くの課題をはらむ。1999年の地域振興券や2020年の特別定額給付金の教訓を生かし、効率性と公平性を両立させる政策設計が求められる。
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