大川原冤罪「遺憾」と警察庁長官

大川原冤罪「遺憾」と警察庁長官

2025/06/12 (木曜日)

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【速報】「大川原化工機」冤罪事件“上告断念”受け楠芳伸警察庁長官「極めて遺憾」「公安部門の捜査において二度とこのようなことがないようにする必要がある」

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速報:上告断念を受けた警察庁長官の謝罪

2025年6月12日、横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」を巡る冤罪事件で、警視庁と東京地検が最高裁への上告を断念し、東京高裁判決が確定しました。これを受け、警察庁の楠芳伸長官は定例記者会見で「原告の方々をはじめとする当事者の方に多大なるご心労、ご負担をおかけし、国民の信頼を損ねたことは極めて遺憾」と謝罪し、公安部門の捜査で二度と同様の過ちを繰り返さぬよう再発防止策を徹底すると表明しました :contentReference[oaicite:0]{index=0}。

事件の発端:噴霧乾燥機の輸出疑惑

2013年10月、バイオテロ対策として特定の噴霧乾燥機の輸出に許可が必要となる貨物等省令が改正されました。国内市場の約70%を占める大川原化工機は新規規制について経産省やCISTECに協力していたにも関わらず、2016年6月に製品「RL-5」をドイツのBASF子会社向けに輸出した際、警視庁公安部外事一課が「生物兵器転用可能」との疑いを固め、2017年5月から捜査を開始しました :contentReference[oaicite:1]{index=1}。

逮捕から無罪確定までの経緯

2020年3月、社長を含む代表取締役ら3名が外国為替及び外国貿易法違反容疑で逮捕・起訴され、同年5月には追加逮捕も実施されました。被告らは一貫して無罪を主張したものの、約11か月の長期勾留を余儀なくされ、その間に相談役は病死、女性社員はうつ病を発症しました。2021年7月、東京地検が「立証困難」を理由に公訴を取り下げ、公訴棄却となり、刑事裁判は終結しました :contentReference[oaicite:2]{index=2}。

違法捜査の認定と民事訴訟

その後、被害者らは国家賠償請求訴訟を提起。2023年12月27日、東京地裁は警視庁公安部と東京地検の捜査・逮捕・起訴を違法と認定し、国と東京都に約1億6200万円の賠償を命じました。2025年5月28日には東京高裁も一審判決を支持し、賠償額を約1億6600万円に増額。これにより、捜査の違法性が二審で確定した形です :contentReference[oaicite:3]{index=3}。

警察庁長官の再発防止指示

楠長官は会見で、「警察の活動は国民の信頼の上に成り立っている。公安部門の捜査で二度とこのようなことがないよう、緻密で適正な捜査と幹部の指揮徹底を都道府県警に通達した」と説明。検証結果を踏まえた留意点や再発防止策をまとめ、警察庁としても必要な監督・指導を強化すると語りました :contentReference[oaicite:4]{index=4}。

他の著名な冤罪事件との比較

本件は、警察の誤った捜査が企業と個人の人生を深く傷つけた典型例です。似た構図の事件として、1990年の栃木県足利市で無関係の男性が逮捕・起訴され、17年後にDNA再鑑定で無罪が確定した「足利事件」があります。両事件とも、捜査段階での恣意的絞り込みや証拠捏造が問題視され、再審・賠償を通じて制度の欠陥が浮き彫りとなりました :contentReference[oaicite:5]{index=5}。

公正捜査と国民信頼回復への課題

再発防止には、①捜査手法の透明化、②外部有識者を交えた検証機関の設置、③捜査官の適性評価強化、④被疑者段階での救済措置(弁護士同席権など)の整備が必要です。また、捜査報告書の文書管理やデータの二重チェックなど、プロセス監査の徹底も急務と言えます。

結論

「大川原化工機冤罪事件」は、公安部門の偏った疑念と手続きの不備が引き起こした深刻な人権侵害です。警察庁長官の謝罪と指導強化表明を契機に、捜査の公正性・透明性を高める抜本的改革を進めなければ、失われた国民の信頼を取り戻すことはできません。今後の制度改正と運用改善に、社会全体で目を光らせていく必要があります。

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