菓子の乾燥剤を覚醒剤にすり替え1kgを密輸 ベトナム人2人逮捕
2025/06/12 (木曜日)
ベトナムから約1kgの覚醒剤を密輸したとして、ベトナム国籍の男2人が逮捕されました。菓子の乾燥剤の中身を覚醒剤にすり替えていました。
グエン・ヴァン・ギアー容疑者(20)ら2人は去年、ベトナムから日本国内に郵送した段ボール箱で覚醒剤約1kg、6300万円相当を密輸した疑いがもたれています。
警視庁によりますと、段ボール箱の中には菓子など24袋が入っていて、その袋の中の乾燥剤を覚醒剤とすり替えていました。
2人はベトナム人密輸グループのメンバーで、日本国内の受け取り役などを統括する指示役とみられています。
2025年6月12日、警視庁薬物銃器対策課と東京税関の共同捜査本部は、菓子の“乾燥剤”の袋に覚醒剤をすり替えて密輸入したとして、ベトナム国籍のグエン・ヴァン・ギアー容疑者(20)ら男2人を覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)の疑いで逮捕しました。計約956~1,000グラム、末端価格約6,300万円相当の覚醒剤をベトナムから国際郵便で日本に送り込み、東京・福生市のアパートなどで受け取らせる手口で、全国的にも異例の「菓子乾燥剤すり替え密輸事件」として注目されています。
こうした手口は従来の「塩ビ管」「タンク」隠匿とは一線を画し、税関・警察双方の検査網をかいくぐる狙いがありました。
調べによると、グエン容疑者らは昨年夏頃から活動を開始し、同様の手口で複数回にわたり覚醒剤を輸入していた疑いがあり、仲間を通じて受取役や輸送役を全国に配備していたとみられます。特に首都圏のベトナム人留学生を巻き込んだネットワークは、警視庁の調査で約8件の受取事例が判明しており、同種手口の対策強化を促すものです。
日本の覚醒剤密輸取締りは関税法と覚醒剤取締法の両面で行われており、国際郵便物は東京税関が第一線で検査。近年は液体や粉末の覚醒剤が細工されやすく、乾燥剤やコーヒー、茶葉など身近な物品に偽装する手口の多発を受け、2024年からは郵便・宅配便ルートでの監視強化とX線・質量分析装置の導入が進められています。この事件でも、税関での水検査(X線検査後の化学試薬による検査)で異常が発見され、警視庁へ引き継がれました。
▼1990年代~2000年代初頭:主に東南アジアから船便による段ボール隠匿。税関による開封検査が中心。
▼2010年代:航空貨物ルートでの大型タンク隠匿。覚醒剤約190kgの「太陽光温水器タンク密輸未遂」事件などが発生 :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
▼近年(2022年~):国際郵便物への「お茶袋」「スパイス袋」「乾燥剤袋」偽装が増加。小口量ながら高純度・高価格の覚醒剤が狙われ、摘発件数が急増。「菓子乾燥剤すり替え」は最新の巧妙化事例と言えます。
今回の摘発は、従来「密輸ルートを遮断すれば抑止できる」とされた常識を覆すものです。身近な市販品を精巧に偽装する手口は、税関・警察だけでなく流通・小売業界にも緊張をもたらし、製菓企業や物流企業が自主的に異物検査を強化する動きが始まっています。また、ベトナム人留学生らの「無自覚巻き込まれ」事案への注意喚起も求められており、在日コミュニティへの広報・啓発が喫緊の課題です。
ベトナム政府も、近年日本向け密輸事件の増加を重く見ており、対策強化を表明。税関当局は日本と法令・運用面での合同研修を継続し、密輸摘発技術や情報解析能力の向上を図っています。また、国連薬物犯罪事務所(UNODC)を介した多国間ワークショップを通じて、「郵便物・小口貨物の検査プロトコル共有」と「摘発事例データベース構築」が進められています。
菓子の乾燥剤を覚醒剤にすり替えるという巧妙な密輸手口は、今後さらに多様かつ精緻化すると予想されます。税関・警察だけでなく、物流企業や小売店、受け取り側となり得る市民一人ひとりが「違和感を見逃さない」社会的目配りが求められます。行政・企業・地域コミュニティが一体となった「全方位的監視ネットワーク」と、「外国人を含む市民への適切な啓発・相談窓口」の整備を急ぎ、再発防止と安全な流通環境の確立を目指す必要があります。
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