忠岡町初の女性共産党町長に就任――是枝綾子氏の挑戦と展望
はじめに
大阪府忠岡町は、その面積の小ささで日本一を誇りますが、2025年5月に歴史的な転換点を迎えました。町議として33年間にわたり地域に根ざしたまちづくりを支えてきた是枝綾子氏(61)が、前町長の不祥事に伴う町長選挙に立候補し、初の女性町長かつ共産党員としては全国で3人目の現職首長に選出されたのです。本記事では、是枝氏のこれまでの歩みと、忠岡町が抱える課題、そして新町長としての今後の展望について詳しくご紹介します。
町長選挙の背景
このたびの町長選挙は、前町長の公金流用疑惑が発覚したことを受けての解職請求裁判と同時に行われました。住民の間には「まちとしての信頼をいかに取り戻すか」という強い不安と期待が混在しており、選挙戦は信頼回復を最大の争点として展開されました。是枝候補は、長年にわたり町議会で税負担の軽減や福祉サービスの充実、小中学校の耐震化・耐火化といった実績を積み重ねてきた人物として、多くの住民から「信頼できるリーダー」として支持を集めました。
是枝綾子氏の経歴と評価
是枝氏は生まれも育ちも忠岡町。地元の小・中・高校を卒業後、大学進学を経て帰郷。共産党の地方組織に参加し、30代で初当選を果たして以来、町議会議員として税財政、福祉、教育、環境政策など幅広い分野に携わってきました。特に消費税や固定資産税の引き下げを訴え、高齢者向け健康教室や子育て支援センターの開設に尽力。町議会内では「住民の声を政策に反映させる原動力」と評価され、その丁寧な姿勢が今回の選挙勝利にもつながりました。
また、忠岡町はこれまでにメジャーリーガーの前田健太投手や、福岡ソフトバンクホークスの元監督・藤本博史氏を輩出したスポーツ振興のまちとしても知られています。是枝氏はスポーツ施設の整備や、生涯スポーツ普及に向けたプログラム拡充を公約に掲げ、若年層のみならずシニア層からも幅広い支持を獲得しました。
今後の展望と課題
忠岡町の面積はわずか4.1平方キロメートルと小規模ながら、人口約23,000人を抱える密集地域です。このため、都市計画、安全対策、環境保全が複合的に絡む課題が山積しています。是枝町長は当面の重点施策として以下の三本柱を掲げています。
- 【財政健全化】前町政の負の遺産を整理しつつ、国庫補助金や府の支援枠を最大活用した効率的予算編成を推進。
- 【防災・減災対策】全域が海抜0メートルに近い低地であるため、津波・高潮対策や土砂災害対策を強化。小中学校・公共施設の避難ルート整備も優先。
- 【少子高齢化対応】子育て世帯への経済的支援拡充と、高齢者の社会参加・介護予防プログラムを全国モデルとして確立。
一方で、小規模自治体ならではの職員数不足や、高度な専門性を要する行政処理のアウトソーシング負担増といった現実的制約もあります。コミュニティバスの運行維持や、ゴミ処理施設の老朽化対策、下水道整備費用の増大など、財源確保と住民合意形成のバランスをいかに保つかが鍵となります。
おわりに
忠岡町の新町政は女性かつ共産党員による初の自治体トップ誕生という画期的出来事です。是枝綾子町長が掲げる「住民本位」の行政運営が、どのように信頼を再構築し、持続可能なまちづくりを推進するかに注目が集まります。面積最小の町だからこそ生まれるコンパクトな施策と、住民参加型の政策立案プロセスが実を結べば、全国の自治体モデルとなる可能性も秘めています。
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