イラン、ハメネイ師の後継候補選定が加速 体制維持図る狙い ホメイニ師の孫も有力
2025/06/24 (火曜日)
ハメネイ師は家族と秘密の場所に移動し、直属する革命防衛隊の特別部隊が警備している。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、居場所が特定されるのを防ぐために電子機器を使わず、信用できる側近を通じて軍事部門の司令官らと連絡を取っている。
イスラエル軍は昨年9月、レバノンで親イラン民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師を爆撃して殺害。続いて今月中旬にイランへの攻撃に乗り出したため、シーア派聖職者3人
産経新聞の報道によると、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は家族とともに秘密の場所へ移動し、直属する革命防衛隊(IRGC)の特別部隊が厳重に警備を担当しています。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、居場所が特定されるのを防ぐため電子機器を一切使用せず、信用できる側近を通じてIRGCの司令官らと連絡を取っていると伝えています。(出典:産経新聞2025年6月24日)
昨年9月27日、イスラエル軍はレバノン・ダヒエ地区において、親イラン派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師を空爆で殺害しました。その後、今月13日にはイランの核・軍事拠点への空襲を断行し、シーア派聖職者3人が戦死したと一部報道が伝えています。(出典:産経新聞2025年6月24日)
ハメネイ師は1989年に最高指導者に就任する以前、1979年革命期の投獄や1981年の爆弾テロ未遂で重傷を負った経験があります。以降、最高指導者には専用の地下壕や移動式移転施設が用意され、IRGCや警備部隊が交互に警護を強化。近年も度重なる“標的リスト”流出や暗殺計画の存在が報じられ、情報統制と秘密主義が一層進んでいます。(出典:Reuters)
イランは1979年以降、レバノン・シリアを舞台にヒズボラを支援し、反イスラエルの“代理戦争”を展開。2006年のイスラエル・ヒズボラ戦争では、相互の空爆・ロケット攻撃を通じて多数の犠牲者を出しました。ナスララ師は1982年に指導者に就任以降、イラン・シリアと連携し影響力を拡大。彼の暗殺はイランの地域戦略に大きな痛手を与えました。(出典:Wikipedia)
2020年1月3日、米国はバグダッド空港近郊でIRGC特殊部隊「クドス部隊」司令官カセム・ソレイマニ将軍らをドローン攻撃で殺害しました。これに対しイランは同月8日にイラク国内の米軍基地をミサイルで攻撃し、両国は一触即発の状態に陥りました。ハメネイ師自身が翌日の決起式で「報復は正当防衛」と宣言し、関係諸国を震撼させました。(出典:Reuters)
6月13日のイスラエル軍によるイラン核施設空爆以降、イランは150発以上のミサイルとドローンで報復攻撃を実施。イスラエル側は「20発を都市部で迎撃し、人的被害は限定的」と発表しましたが、国連調査団は「非戦闘員への影響」を懸念し、双方に自制を求めています。欧米各国はG7声明で「一切の行き過ぎた軍事行動に反対」を掲げ、中東情勢のさらなる拡大を警戒しています。(出典:Reuters)
ハメネイ師は自らの生命線を守るため“情報遮断”と“側近経由連絡”を徹底。一方で、ナスララ師やソレイマニ将軍のような指導者の殺害をきっかけに、イランは“象徴的報復”を繰り返し、抑止と威嚇のバランスを図っています。中東における代理戦争の構図は複雑化し、最高指導者層の秘匿戦術が今後も紛争の焦点となるでしょう。
ハメネイ師の安全確保策は、秘密主義と革命防衛隊の警備強化に象徴されるように高度化していますが、指導部の“空洞化”と攻撃モメンタムの継続はイラン政権にとって大きなジレンマです。報復の連鎖を断つには、国際社会による仲介・交渉が不可欠であり、中東の安定に向けた新たな安全保障枠組み構築が急務となっています。
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