マスク氏 トランプ氏批判を後悔
2025/06/11 (水曜日)
【AFP=時事】世界一の富豪で、米ドナルド・トランプ政権から退任したばかりのイーロン・マスク氏は11日、トランプ氏に対する最近の批判の一部について「行き過ぎた」と述べ、後悔の念を示した。
2025年6月11日、テスラCEOで宇宙開発企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏は、先週自身のソーシャルメディア上で行ったドナルド・トランプ前大統領への批判について、「行き過ぎた」と公式に後悔を表明した。マスク氏は「先週のトランプ大統領への投稿は行き過ぎたと後悔している」と自身のプラットフォームに投稿し、トランプ氏が「非常に親切な対応」と評価したことも明らかになった :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
マスク氏は2020年の大統領選では一定の支援を行い、トランプ政権下で環境規制緩和や宇宙開発促進のアドバイザーを務めた経緯がある。しかし、トランプ氏の新たな歳入・歳出法案やインフラ計画を巡って意見が対立。マスク氏はその内容を「税金好きの大規模支出」と痛烈に批判し、両者の関係は急速に悪化していた。
批判の一部にはトランプ氏と故ジェフリー・エプスタイン被告との関係を示唆する投稿や、「トランプ氏がマスク氏の支援なしに大統領になれなかった」といった発言が含まれていた。これらは真偽不明の憶測と捉えられ、トランプ氏は「個人的に話をしたい」と応じ、両者の間で直接電話会談が行われたと伝えられる。
著名経営者と政治指導者の公開の不和と和解は珍しくない。1980年代にはフィラデルフィアの実業家と大統領の経済政策巡る舌戦が、公開謝罪と共同イベント開催で収束した例がある。こうしたケースでは、双方への批判的発言後に「関係修復」を図ることで、企業運営や政治基盤の安定を図る狙いがある。
マスク氏の謝罪は投資家や株式市場にも安心感を与え、テスラ株は発表翌日に小幅上昇した。一方でトランプ氏支持層からは「潔い対応」と評価される一方、マスク氏の発言力を巡る賛否が改めて議論を呼んでいる。
マスク氏は再度ホワイトハウスのイノベーション顧問に招かれる可能性が取り沙汰され、インフラ整備や再生可能エネルギー分野での政策提言を行う可能性がある。トランプ氏も今後の大統領選再出馬を示唆しており、両者の関係改善は政治・ビジネス両面で注目される。
イーロン・マスク氏の謝罪は自身の影響力の大きさを自覚した上での実務的判断とも言える。公の場での批判は企業イメージや政策協調に影響し得るため、双方にとっての“行き過ぎ”への自省と関係修復の試みは、今後の発言や協力関係を左右する重要なターニングポイントとなるだろう。
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