トランプ氏 マスク氏の投稿を評価
2025/06/12 (木曜日)
[11日 ロイター] - トランプ米大統領は11日、米実業家イーロン・マスク氏がトランプ氏に関する投稿の一部について後悔していると述べたことに対し、その対応は非常に良かったとの考えを示した。
2025年6月11日、ロイター通信は、ドナルド・トランプ米大統領が「イーロン・マスク氏が私に対する一部の投稿について後悔していると述べたことに対して、その対応は非常に良かった」と評価したと報じました。トランプ氏は自身のソーシャルメディア「X(旧Twitter)」上でマスク氏の謝罪を歓迎するコメントを発信し、両者の関係改善の兆しを示しています。
イーロン・マスク氏は2020年米大統領選挙でトランプ氏を一定程度支持し、当選後にはホワイトハウスのイノベーション諮問委員会に招かれました。しかし2021年の就任演説を巡る批判や、マスク氏が社交政策で距離を置いたことから両者の関係は一時冷却。2022年にX社を買収してからは、トランプ氏のアカウント再開を実現させるなど、ツイッター運営を巡って協調と対立を繰り返してきました。
マスク氏は6月8日に自身の投稿で、かつてトランプ氏を揶揄する「エプスタイン疑惑」などの根拠薄弱な発言を行ったことを「行き過ぎだった」と認めました。その上で、トランプ氏に対し「誤解を招き申し訳ない」「互いに協力して前進したい」とのメッセージを発信。これに対しトランプ氏は「マスク氏の謝罪は勇気ある行動だ」と称賛し、次期テクノロジー政策での協力を示唆しました(出典:ロイター)。
テクノロジー界では、SNSやコメントで物議を醸した創業者が謝罪する例が増えています。Metaのマーク・ザッカーバーグ氏は2018年のケンブリッジ・アナリティカ・スキャンダルで謝罪し、Facebookプライバシー強化を決断。アマゾンCEOジェフ・ベゾス氏も従業員の労働環境批判を受けて声明を発表し、改善策を打ち出しました。その中でマスク氏の謝罪は、影響力の大きいプラットフォーム運営者としての責任を自覚したものと評価できます。
マスク氏は買収後、X社のモデレーション方針を「言論の自由重視」に大転換させ、トランプ元大統領のアカウントを復活させました。一方で、ヘイトスピーチやフェイクニュース対策の緩和を批判する声もあり、誤情報拡散の温床化を懸念する専門家もいます。今回の謝罪でマスク氏が再び慎重路線を示す可能性があり、プラットフォーム運営のバランス調整が注目されます(出典:AP News)。
トランプ氏は政権時代、ソーシャルメディア企業を「巨額の課税対象」と批判し、Section 230(通信品位法230条)改正を唱えました。マスク氏の謝罪を受け、トランプ大統領は「テクノロジー企業のイノベーションを阻害しない規制」が必要と表明し、再選後の規制緩和を示唆。両者の関係修復は新たな通信・プライバシー政策に影響を及ぼす可能性があります。
謝罪と称賛の連鎖は、保守派・リベラル派双方の有権者に波紋を広げています。保守系メディアは「異例の和解」と評価し、自由市場における対立解消例と報じる一方、リベラル寄りメディアは情報操作懸念を指摘。「両氏の蜜月は選挙戦略の一環」との見方もあり、2026年大統領選に向けた注目材料の一つとなりそうです(出典:New York Times)。
アメリカ大統領と世界一の富豪の関係改善は、G7やG20など多国間交渉にも影響を与えかねません。EUはデジタル市場法(DMA)やデジタルサービス法(DSA)でプラットフォーム規制を強化しており、米国の規制動向を注視しています。中国やインドも自国企業保護の名目で情報統制を強める中、謝罪を機に米国が国際的なデジタルガバナンス議論でリーダーシップを取り戻す可能性があります(出典:Financial Times)。
マスク氏の謝罪とトランプ氏の称賛により、両者の関係が今後どう発展するかに注目が集まります。特にX社の監視・検閲ポリシーの再調整、Section 230改正議論の進展、次期政権下でのテクノロジー振興策など、政策面への影響が大きいと考えられます。また、世界的にプラットフォーム企業の社会的責任が問われる中、影響力の拡大が企業ブランドと公共の利益にどう関わるかが問われるでしょう。
イーロン・マスク氏のトランプ氏への謝罪と、トランプ大統領の好意的反応は、テクノロジー企業と政治リーダーの複雑な関係を象徴しています。歴史的に相互批判が続いてきた両者が公の場で歩み寄る姿は、情報社会の新たなパワーバランスを示唆します。今後の政策動向や選挙戦略を占う上で、両氏の発言と連携の行方から目が離せません。
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