トランプ氏復帰後 米好感度が急落
2025/06/12 (木曜日)
【AFP=時事】ドナルド・トランプ大統領の復帰以来、米国のイメージは世界の多くの地域で急激に悪化しており、トランプ氏の人格と政策の両方に低い評価が下されている、と米調査機関ピュー・リサーチ・センター
2025年6月11日、米調査機関ピュー・リサーチ・センターは、2025年1~4月に24か国の成人計28,333人を対象に実施した国際世論調査の結果を発表した。ドナルド・トランプ大統領の政権復帰以降、米国に対する好感度が15か国で昨年より低下し、24か国中15か国で米国を「好意的に」評価する割合が減少した。この傾向は、トランプ氏の人格と主要政策の両面に対する評価低下が背景にあると分析されている :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
本調査は毎年行われており、2021年にはバイデン大統領就任後に好感度が大幅改善したことが報じられていた。例えば同センター調査では、2021年3~5月調査で16か国中12か国で「米大統領が世界情勢で正しいことをする」と回答した割合の中央値が、トランプ政権末期の17%から75%へ上昇したとされる :contentReference[oaicite:2]{index=2}。しかし今回、再びトランプ氏が大統領就任初期に見られた低評価ゾーンへ戻った格好だ。
調査では、対象国の大多数がウクライナ支援、ガザ紛争対応、移民政策、気候変動対策などトランプ氏の主要外交政策に反対すると回答。また「トランプ氏は傲慢だ」と答えた回答者は平均80%に達し、「誠実だ」と評価したのは28%にとどまった :contentReference[oaicite:3]{index=3}。この結果は、人格的側面への不信感とともに、具体的政策への懸念が併存していることを示している。
トランプ氏の初期政権(2017~19年)に実施された同種の調査では、移民規制強化や同盟軽視姿勢が欧州・中南米で批判され、一部の親米派世論が冷え込んだ。バイデン政権期には「国際協調回帰」が評価され、好感度が回復したが、今回の再就任で再び「内向き・強硬路線」のイメージが世界的に波及した形だ。
日本国内でも同調査の結果、「米国に好意的」とする割合は2024年の約55%から2025年は約43%に低下し、10ポイント超の落ち込みを示した(朝日新聞調査より) :contentReference[oaicite:4]{index=4}。日本では安全保障上の米日同盟への信頼は依然高いものの、対中関係や気候変動政策などへの懸念が重なり、米国のリーダーシップ評価が揺らいでいる。
米国の国際イメージは、経済力や軍事力だけでなく、民主主義や人権、環境問題など「ソフトパワー」分野での信頼に支えられている。トランプ大統領の復帰によってこれらの分野で評価が低下すると、米国主導の多国間協力や同盟関係の維持に影響を与える可能性がある。特にNATOやG7、気候変動枠組みなどのリーダーシップ発揮が難しくなる恐れが指摘される。
欧州連合は、トランプ政権への対応として「デジタル市場法」や「デジタルサービス法」の施行を加速し、アジア太平洋地域ではクアッド(QUAD)構想を強化して「自由で開かれたインド太平洋」を掲げる動きを続けている。日本も日米豪印の防衛協力を深化させ、G7やG20での連携を模索する中、米国との信頼関係再構築が喫緊の課題となるだろう。
調査結果を受け、以下のような政策対応が求められる。
ピュー・リサーチ・センターの最新調査は、トランプ大統領復帰後の米国イメージ悪化を如実に示した。伝統的な「力による抑止」だけでなく、「価値観による共感」を基盤とするリーダーシップが問われる中、米国は国内外双方での信頼回復に向けた政策調整を急ぐ必要がある。2025年後半にかけて、同盟国やパートナーとの協議を通じ、再び世界の多くの地域から支持を取り戻せるかが最大の焦点となるだろう。
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