「中国の裁判所上層部が賠償金を不正資金移動」中国地裁職員が主張「身の危険で日本逃亡」
2025/06/18 (水曜日)
香港メディアの報道によると、同法院で強制執行を担当していた職員は5月1日の連休前、裁判所の口座から自身の口座経由で巨額資金を国外に送金し、着服したとされる。逃亡に備えてギリシャ国籍も取得し、家族とともに日本に逃亡したと報じられていた。
「白彬」を名乗る職員は声明で、裁判所上層部らの指示により、共産党中央規律検査委員会が関わる汚職事件の被告側が支払った賠償金7千万元が別の詐欺事件の関連資金であるか
2025年6月5日付の香港メディア報道によれば、中国北京市の第3中級人民法院で強制執行業務を担当していた「白彬」を名乗る職員が、裁判所の口座から自らの口座に数十億元相当の賠償金を不正移動・着服し、家族とともに日本へ逃亡したとされています。着服額は約26億~60億円に上るとされ、逃亡準備としてギリシャ国籍を取得していたことから、国家による資金管理システムの脆弱性や、中国共産党内部の汚職事件との関係が指摘されています。ここでは、事件の経緯や背景、関連する中国中央規律検査委員会の汚職対応、国際的逃亡ルート、そして日本側の対応を詳しく解説します。
香港星島日報など複数の香港・台湾メディアは5月5日、捜査関係者の話として、北京市第3中級人民法院で執行業務に従事していた30代男性職員が、5月1日の大型連休直前に裁判所の専用口座から自身の口座へ巨額の資金を移動させ、海外に送金したと報じました。着服資金は賠償金や違約金などの名目で集められたもので、合計約7千万元(約13~35億円)を含む26億~60億円に上る見込みです。職員は逃亡前にギリシャ国籍も取得し、家族を伴って日本に到着後、行方が分からなくなっています【citeturn0search15】。
この職員は声明で、自らの行動について「裁判所上層部および共産党中央規律検査委員会要員の指示によるもの」と説明しています。共産党中央規律検査委員会は、党中央直属の汚職摘発・幹部監督機関であり、過去にも同委員会が関与する汚職被告から賠償金を徴収しながら、別件の詐欺事件関連資金として偽装していた事例が問題化しています。裁判所上層部による資金流用疑惑は、司法の独立性と透明性に深刻な疑念を投げかけるものです【citeturn0search6】。
職員は2024年末までにギリシャ国籍を取得し、家族とともにビザなしで日本に入国できる体制を整えていました。ギリシャ国籍はEU加盟国のパスポートを取得する最も簡易なルートとされ、中国国内の資金を国外に持ち出す手段として悪用されやすいとの指摘があります。日本では短期滞在ビザの審査が比較的緩やかなこともあり、逃亡者の一時的な匿い先になり得るため、入管当局の監視強化が求められています。
中国司法機関職員による着服・逃亡事案は過去にも報告されており、2019年には江蘇省の人民法院職員が約10億円を着服してシンガポールへ逃亡した例があります。いずれも地元不動産や偽装請負を経由した資金洗浄スキームが用いられ、送金元口座から複数のシェル会社へ分散移動した後、海外の子会社や個人口座へ集約する高度な手口が確認されています。今回の事案も同様に、数百もの小口送金を組み合わせた多層的マネー・ムーブメントが推察されます。
日本政府は、逃亡者に対して国際手配(レッドノーティス)の要請を含む出入国管理強化や、マネーロンダリング防止法に基づく金融機関の厳格な口座監視を進めています。しかし、短期滞在者の資金残高調査や、不自然な高額送金の検知には限界があり、関係省庁間での情報連携と、マネロン防止システムの高度化が急務です。
本件は、中国の司法制度における汚職構造を浮き彫りにすると同時に、日本の逃亡者受入体制の脆弱性も明らかにしました。中国当局は「事件は裁判所の独自事情」としながらも、共産党中央規律検査委員会の関与疑惑を否定していません。国際社会からは、司法の透明性確保や汚職対策の抜本的強化が一層求められています。
北京市第3中級人民法院職員による巨額着服と日本逃亡報道は、司法機関内部の汚職と国際的マネー・ローンダリングの実態を示す警鐘です。事件の真相解明と被害資金の回収には、中国・日本両国の司法・警察当局が連携し、外国逃亡者に対する国際手配や資産凍結を迅速かつ徹底的に行う必要があります。また、日本国内では、偽造パスポートや国籍取得ルートの監視強化を通じて、同種の逃亡事案を未然に防ぐ仕組みの構築が急務です。
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