たこ焼き 物価高騰で「脱たこ」も
2025/06/08 (日曜日)
「『たこ』入っていません」 物価高騰でたこ焼きがソーセージ焼きに
2025年6月、東京都内のたこ焼き店で「たこ」は一切入っておらず、代わりに小さくカットしたソーセージが入った“ソーセージ焼き”が提供される珍事が発生した。背景には、ここ数年で2倍近くに高騰したタコの仕入れ価格がある。大手チェーン店も従来の5個180円(税込)が200円に値上げを余儀なくされる中、タコを使った商品を維持できない店が代替素材を模索した結果だ。
たこ焼きは1935年頃、大阪で「ラヂオ焼き」という牛すじ・こんにゃく入りの粉物として誕生し、1950年代にタコを具材にした現在の形が広まった。庶民の粉もん文化を象徴する一方、お祭りや屋台の定番として地域を問わず親しまれてきた。軽食としての手軽さと、外はカリッと中はトロリとした食感が世代を超えて支持される理由である。
総務省の小売物価統計(東京都区部)によれば、タコは2014年に100グラムあたり277円だったが、2025年5月には528円にまで跳ね上がった。輸入原材料費だけでなく、漁獲量の減少や燃料費高騰による輸送コストの上昇も影響しており、小規模店舗では仕入れが困難になっている :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
東京都心部の老舗たこ焼き店では、2023年11月から具材をソーセージに変更。ソーセージ焼きは、たこ焼きと同じ生地・調理方法を維持しつつ、内部からは粗挽きソーセージが香る新感覚の商品だ。価格は5個200円と、従来より20円高いがタコを使うよりも安価に抑えられる :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
一部の店舗では、かまぼこやこんにゃく、イカなどをタコの代替として提案。食品メーカーも粉末だしや調味料を強化し、風味を補う商品開発を進めている。特に地域限定のコラボ型たこ焼きでは、地元産野菜やソーセージを入れた「ご当地焼き」が観光資源に昇華する動きも見られる。
物価高騰の収束が見えない中、たこ焼き業界では以下の課題が浮き彫りとなっている。
庶民的な「粉もん文化」としてのたこ焼きは、タコ価格の影響を受けながらも、創意工夫によって新たな進化を遂げる可能性がある。ソーセージ焼きの動向は、物価高時代における外食業の適応力を象徴する事例となりそうだ。
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