元貴乃花 大の里「超」横綱目指せ
2025/06/24 (火曜日)
大相撲の元横綱貴乃花の花田光司さん(52)がこのほどインタビューに応じ、5月の夏場所後に初土俵から「最速」となる所要13場所で番付の最高位を極めた大の里にエールを送った。
大相撲夏場所千秋楽(2025年5月26日)、初土俵から所要13場所で横綱昇進を決めた新大関・大の里泰輝(本名・中村泰輝)に対し、元横綱・貴乃花光司氏(52)がインタビューで心強い言葉を贈った。「上に立つことはつらいが、新しい楽しみも生まれる。嫉妬も浴びるが、それを楽しみ、千載一遇の機会をものにしてほしい」と語り、弟子として浴衣を譲った縁を誇らしげに語った。(出典:スポーツ報知2025年6月24日)
大の里泰輝は2023年5月に初土俵を踏み、2024年1月に新入幕。4場所後の同年5月に史上最速タイの幕内初優勝を飾り、さらに2025年5月場所では連続優勝を果たすと、75代横綱に推挙された。年6場所制以降の初土俵から所要13場所での横綱昇進は史上最速であり、昭和期の輪島(二十一場所)や羽黒山・照國(十六場所)を大きく上回る偉業となった。
2017年初場所で稀勢の里が昇進して以来、約8年ぶりに誕生した日本人横綱という意義も大きい。外国出身力士の台頭が続く中、母国の伝統と誇りを背負う大の里には、ファンからの期待と注目が一気に集まった。
貴乃花氏は1988年春場所で兄・若乃花と同時に初土俵を踏み、1992年初場所で史上最年少の19歳5か月で幕内優勝。1995年には平成期最年少で横綱昇進を果たし、「平成の大横綱」と称された。引退後は相撲協会理事や指導者として後進育成に尽力し、自身の稽古の厳しさと礼節を重んじる姿勢で知られる。大の里には「身体づくりだけでなく、品格と心の鍛錬を忘れずに」とエールを送った。
年6場所制(1958年開始)以降、初土俵から横綱昇進までの最速記録は輪島の21場所だったが、大の里は13場所でこれを塗り替えた。さらに戦前の年2場所制時代を含めても、史上最速クラスの到達であり、「角界の歴史を塗り替えるスピード感」と評される。
「横綱は一日の長。技の幅と土俵外の立ち振る舞いも求められる」と貴乃花氏。大の里は身長192cmの長身を生かした四つ相撲と速攻が持ち味だが、体調管理や怪我の防止、継続的な稽古法の工夫が今後のカギとなる。また、後進育成や相撲道の普及にも期待が寄せられる。
伝統を守りつつ、新時代に即したパフォーマンスを見せるのが令和の横綱の役割だ。大の里はSNS時代の力士として、若いファン層に向けた発信力も期待される。貴乃花氏の「嫉妬を楽しむ」という言葉どおり、周囲の声をエネルギーに変えて、数々の重圧に立ち向かっていくことが求められるだろう。
所要13場所という驚異のスピードで横綱に上り詰めた大の里泰輝。かつての「若貴」を彷彿とさせる速さとスター性は、角界全体を活性化させる原動力となる。今後は土俵上での技と精神力、土俵外での品格を兼ね備えた「令和の大横綱」として、次代の相撲ファンに夢と感動を届けることが期待される。
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