白鵬氏 元照ノ富士との確執を否定
2025/06/09 (月曜日)
白鵬翔氏 協会退職の理由は「照ノ富士の下はイヤ、それは全くありません」 伊勢ケ浜親方との確執否定
大相撲で史上最多45度の優勝を誇る元横綱・白鵬翔氏が、日本相撲協会を退職した理由についての記者会見が2025年6月9日に都内で行われました。会見では「照ノ富士の下で働きたくないから」という一部報道を真っ向から否定し、伊勢ケ浜親方との確執も一切ないことを強調しました。退職を決断した背景や協会内外での動き、今後の活動構想などを詳しく解説します。
白鵬氏は2021年秋場所後の引退後、「間垣(まがき)」、さらに「宮城野(みやぎの)」を襲名して宮城野部屋の師匠となりました。しかし、弟子の暴力問題発覚によって部屋が閉鎖され、2024年4月からは伊勢ケ浜部屋に転籍して部屋付き親方として弟子育成を続けてきました。部屋再興の見通しが立たない中、「親方職を続けるより、自分で新たな活動を切り拓きたい」と判断。6月9日付で退職届を提出し、協会を去る決意を固めました。
照ノ富士関は、伊勢ケ浜部屋の看板力士として活躍した後に同部屋を引き継ぐ可能性が報じられましたが、白鵬氏は「兄弟子として慕っている。互いに尊敬し合う関係だ」と述べました。照ノ富士関の推薦や指導役を務めた経験についても「感謝している」と強調し、報道された確執説を一蹴しました。
伊勢ケ浜親方(元旭富士)は白鵬氏の初土俵以来の師匠格であり、親方職転籍後は生活面や指導面で多大な支援を受けました。会見では「親方とは家族のような絆がある」と述べ、親方への信頼と感謝を改めて語りました。また、部屋への影響を最小限にするための配慮から、辞職手続きも細心の注意を払って行ったと説明しました。
相撲協会では年寄名跡を持つことが親方・部屋継承の要件とされ、部屋再興やブランチ創設には協会の承認が不可欠です。しかし近年、一門の減少や人手不足、暴力問題の発覚などで部屋運営の継続が困難となっており、「再興の手続きが煩雑すぎる」「外部人材の活用が難しい」といった声が業界内からも上がっています。白鵬氏はそうした制度の硬直性を暗に示し、「外部から新たな仕組みづくりに貢献したい」と意欲を示しました。
記者会見で白鵬氏は、少年相撲大会「白鵬杯」を拡大し、世界規模の大会「世界相撲グランドスラム」を創設する計画を明らかにしました。国内外のアマチュア相撲団体や教育機関と連携し、ジュニア世代から一般シニアまで参加可能なトーナメントを開催。相撲の普及と技術交流の場を提供することで、「相撲文化を世界中に広める」ことを目指しています。
白鵬翔氏の退職は、一部報道の“照ノ富士下拒否説”や“師弟確執説”を完全に否定する形で行われ、協会内外への配慮をしつつ「自らの新たな夢」に向かう意思表明となりました。部屋制度の課題を示唆しながら、世界規模の相撲振興プロジェクトにも意欲を示した彼の今後の動きは、相撲界の伝統と革新をつなぐ大きな転換点となるでしょう。
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