兵庫の維新議員 離党・除名相次ぐ
2025/06/07 (土曜日)
地域ニュース
日本維新の会に所属する地方議員の離党・除名が県内で相次いでいる。兵庫県議3人が3月、2024年11月の知事選で再選された斎藤元彦知事を支持する地域政党を設立し、その後、神戸市議2人が合流。明石市議会
2025年初春、兵庫県内の地方議会で、日本維新の会に所属していた議員の離党・除名が相次いでいる動きが注目を集めています。県議会では3月に3人の維新系県議が離党し、新たに知事を支持する地域政党を立ち上げました。また、神戸市議会でも2人がこれに合流し、維新からの分裂が加速しています。本稿では、今回の離党・除名劇の背景にある党勢や地方政治の構造、歴史的経緯を整理し、他地域の類似事例とも比較しながら今後の展望を考察します。
日本維新の会は、大阪府を基盤に2012年に結成された地域政党を母体とし、2015年に国政政党として再編されました。大阪維新の会が掲げた「既得権打破」「行政改革」「財政改革」を全国に拡大し、都市部の若年層や中小企業経営者などから支持を獲得。国会議員数は第49回衆院選で過去最高を記録し、自民・公明に次ぐ第三党に躍進しました。地方組織も全国の市区町村議会に展開し、地域政党としての顔を持ちながら国政政党としての政策発信力を強化してきました。
兵庫県議会では2024年11月の知事選で再選された斎藤元彦知事を支援する動きが活発化し、維新系の県議3人が3月初旬に離党を表明。知事の政策を推進する新党「ひょうご未来会議」を立ち上げ、当面は無所属会派として県議会活動を継続すると宣言しました。維新本部はこの動きを「党規律違反」と判断し、同3名を除名処分に。本部との方針対立が根底にあることが明らかとなりました。
同時期に神戸市議会でも維新会派に所属していた2人の市議が離党し、同「ひょうご未来会議」へ合流。市長選挙や予算審議において知事の顔色をうかがう形で旧維新系市議が結集し、市政運営にも影響を及ぼし始めています。市政と県政の連携強化をアピールする一方で、維新系支持層からは「本道の改革路線が歪められるのでは」と危惧する声も上がっています。
今回の離党・除名劇の背景には、次の要因が指摘されます。
日本の地方政治では「タテ割り」構造が根強く、国政政党の派閥がそのまま地方に持ち込まれるケースも多々あります。しかし、地域のリーダーシップを重視する動きから、地方政党として知事や市長を支えるために新党を設立する例は過去にもありました。1995年の神奈川県知事選で設立された「新しい神奈川をつくる会」などが先例で、地方自治体の長と議会与党が緊密連携を図るモデルとして注目されました。
岐阜県や愛知県などでも、かつて地方議員が国政政党から離党し、知事支援の地域政党に合流した事例があります。いずれも国政政党の地方組織強化と、有権者とのリアルな接点確保という相反する要請を調整しきれず、分裂に至りました。こうした動きは「ポリティカル・ディヴァイド(政治的分裂)」として地方議会研究でも注目されています。
県政・市政双方で維新系以外の与党が再編される中、以下のポイントが今後の焦点となります。
兵庫県議・神戸市議の相次ぐ離党・除名劇は、国政政党と地方自治との間での調整の難しさを浮き彫りにしました。地方政治の現場においては、有権者との距離や自治体トップとの連携が最優先となるケースが多く、国政政党の画一的な統制が必ずしも適用できない現実があります。今後、地域政党としての「ひょうご未来会議」がどのように政策を展開し、有権者の信頼を得るかが、地方政治の新たな潮流を占う試金石となるでしょう。
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