朝鮮総連の傘下 男2人書類送検へ
2025/07/02 (水曜日)
朝鮮総連傘下の貿易会社が差し押さえを免れるため、約5000万円の現金を隠し持っていたことがわかり、警視庁公安部が会社の代表取締役ら2人を2日にも書類送検する方針を固めたことがわかりました。
2025年7月2日、警視庁公安部は、在日朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)傘下の貿易会社「東海商事」(東京・千代田区)が、整理回収機構への債務差し押さえを免れる目的で約5,000万円の現金をレンタルルームに隠し持っていたとして、同社代表取締役(82)と取締役(58)の両名を強制執行妨害容疑で書類送検する方針を固めた。現金は封筒に小分けされ、北朝鮮本国ともつながり深い同社の資金繰りに充当されていたとみられる 。
「東海商事」は1950年代に設立され、朝鮮総連の公式貿易窓口とされてきた老舗企業。北朝鮮からの各種物資輸入や送金、外交秘儀ともいえる交易を担い、同総連系金融機関「朝銀信用組合」から融資を受けるなど、総連の外貨獲得に重要な役割を果たしてきた。2006年の朝銀経営破綻後は整理回収機構に66億8,600万円の不良債権を引き継がれ、返済が滞っていた。
公安部は2025年2月、東海商事本社および関係先を家宅捜索。レンタルルーム内から差し押さえ対象資産回避を狙った封筒入り現金5,000万円を発見した。代表取締役らは「債権者から経営再建のために預かった」と説明しているが、実体は強制執行を妨げるための隠匿と判断された。7月2日にも書類送検され、捜査は北朝鮮の外貨獲得政策との関連や、背後にある送金ルート解明を目指す。
これらの事例はいずれも、在日北朝鮮組織の外貨調達ルートを断つための重要な捜査と評価されてきた。
強制執行妨害罪は刑法第103条に規定され、差押え対象の隠匿や損壊を禁じる。一方で、朝鮮総連系企業の背後に北朝鮮政府が存在するとみなし、資金源を断つための国際制裁(国連安保理決議第1718号ほか)や外為法による送金規制も適用される。捜査においては、隠匿現金の追跡や送金先の特定、組織的関与の立証など、高度な金融犯罪捜査技術が求められる。
朝鮮総連系貿易会社の摘発は、在日朝鮮人コミュニティにも大きな衝撃を与える。地域では「政治的中立を損なう恐れ」「地域の商業活動への風評被害」を懸念する声も上がる。一方で、「違法資金流用許さず、法の公正を守れ」と支持する意見も多く、公安部は地域への説明会を実施し、捜査の透明性確保に努めている。
朝鮮総連傘下の貿易会社による巨額現金隠匿事件は、北朝鮮の外貨獲得政策と在日組織の資金環流構造を象徴する重大事案である。強制執行妨害罪の適用と並行し、国際制裁やマネーロンダリング防止法制を活用した総合的対応が求められる。今後は、捜査の透明性確保と再発防止策の徹底を通じ、法の支配を損なわない社会秩序の維持と地域コミュニティの安心確保を図るべきだろう。
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