ドリフト横行の峠 設備損壊相次ぐ
2025/06/17 (火曜日)
「頭文字D」のヤビツ峠、ドリフト走行後絶たず…「攻めやすく」するため安全設備の損壊相次ぐ
神奈川県秦野市と愛甲郡清川村を結ぶヤビツ峠は、人気漫画・アニメ「頭文字D」に登場する名物コースとして知られ、毎夜のようにドリフト走行が繰り返されています。しかし近年、「攻めやすく」するためとみられる安全設備の盗難・破壊行為が深刻化。防犯カメラや道路鋲(びょう)、ガードレールなどが相次いで損壊・撤去され、地元警察と自治体が対応に追われています。
ヤビツ峠(標高761m)は、ストリートレース漫画「頭文字D」においてProject Dの要戦場「Team 246」のホームコースとして登場。実在する山岳路であり、作品中のバトルやドリフト技術描写が若者のカースポーツ人気を後押ししました:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
読売新聞の報道によると、ヤビツ峠周辺では防犯カメラの盗難や路面に設置された道路鋲の破壊、ガードレールの曲げ損壊などが頻発。これらは「ドリフトをしやすくするため」とされ、プロテクターなしの車両がそのまま走行可能となるため危険度が増しています:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
神奈川県は2025年3月下旬、ドリフト防止のためヤビツ峠各所に18基の道路鋲を設置しましたが、翌日にはうち6基が破壊され、舗装のえぐれや白いスリ跡が残されました。県は器物損壊容疑で被害届を提出し、県警が捜査を開始していますが、対策は“一晩”の命にとどまっています:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
道路鋲やガードレールは公道の安全確保に不可欠な設備であり、これを破壊・盗難する行為は器物損壊罪(刑法第261条)に該当します。また、公道での危険運転や速度超過、無許可の交通妨害行為は道路交通法違反として厳罰の対象となります。県警は張り込みや防犯カメラの映像解析を進め、走行車両の特定を図っています。
同様の問題は横浜市大黒パーキングエリア付近でも発生し、タイヤ痕防止用の道路鋲が度々破壊されています。県はデジタル点呼システム導入を検討しているほか、路面を滑りにくい特殊塗装に変更する案も浮上。定期的なパトロール強化やドローン監視体制の導入が検討されています:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
地元のライダーやドライバーからは「命綱とも言えるガードレールが壊されれば即死事故につながる」「峠本来の魅力を保ちながら安全性を両立してほしい」といった声が上がっています。また、観光客の増加に伴い、一般通行者の安全確保も急務です。
ヤビツ峠の安全設備損壊問題は、単なるイタズラや暴走行為を超え、公道利用者全体の生命・財産を脅かす深刻事案です。県警と自治体は、①監視強化、②設備の強化・目立つカラーリング導入、③ドリフト専用コース整備の検討、④地域住民との協働によるモラル向上活動──など多面的対策を急ぐ必要があります。
「頭文字D」で一躍有名となったヤビツ峠は、現在もドリフト走行の聖地として若者を引きつけますが、安全設備の損壊が相次ぐことで公道としての安全性が揺らいでいます。ファンや地域住民、行政が連携し、魅力と安全を両立させるための持続的な取り組みが求められています。
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