百日ぜき患者3万人超 昨年の8倍弱
2025/06/24 (火曜日)
国立健康危機管理研究機構は24日、激しいせきが続く「百日ぜき」の今年の累計患者数が、速報値で3万1966人になったと明らかにした。現在の集計法となった2018年以降では、19年の1万6845人が最多
国立健康危機管理研究機構(JIHS)は2025年6月24日、「百日ぜき」(百日咳)の今年の累計患者数が速報値で3万1966人に達したと発表しました。2018年に現行の集計方法を導入して以来、過去最多を記録した2019年の1万6845人を大きく上回り、昨年(約4000人)の8倍近い水準まで急増しています。この異例の拡大は、乳幼児の重症化リスクを高めるだけでなく、社会全体の感染対策にも深刻な影響を及ぼしています。(出典:FNNプライムオンライン2025年6月24日)
・2024年:約4,000人(現行方法開始後最低)
・2019年:16,845人(従来最多)
・2025年(速報):31,966人(6月15日まで)
これまで年6回の定期集計で最も多かったのは2019年の1万6845人でしたが、今年はすでにその倍近い患者数が確認されています。とくに都市部や保育園・幼稚園が密集する地域での報告が目立ち、感染拡大の勢いが衰えていないことがうかがえます。(出典:47NEWS2025年6月24日)
百日ぜきはボルデテラ・パータス菌による呼吸器感染症で、初期には風邪に似た軽いせき、くしゃみ、鼻水から始まります。病状が進むと「けいれん性」の激しい連続せき(ひゅーひゅー音を伴う)が出現し、特に2歳未満の乳児では無呼吸発作や肺炎を起こし、死亡するケースも稀ではありません。成人でも長期間にわたるせき込むことで肋骨骨折や尿失禁などの合併症リスクが指摘されています。
日本では百日ぜきワクチンはジフテリア・破傷風・百日ぜき混合ワクチン(DTaP)として実施され、初回は生後3・4・5か月の3回、その後18~24か月時と小学校入学前(5~6歳時)の計5回にわたって接種が義務付けられています。しかし、成人期に追加免疫(ブースター接種)を行う制度は浸透しておらず、思春期以降の免疫維持が不十分なことが感染再拡大の一因とみられます。厚生労働省は、今年度中に成人向けの追加接種ガイドラインを公表する方針です。
静岡県では6月9~15日の1週間で初めて100人超の週間報告を記録し、北海道・秋田・熊本など全国各地で患者数が急増。とくに新潟県は県内累計が全国2位となり、乳幼児を抱える家庭や子育て支援施設に警戒が呼びかけられています。都道府県ごとに保健所が定期的なサンプリング調査を強化し、早期の診断・隔離体制を整備しています。
厚生労働省と地方自治体は以下の対応を進めています。
・乳幼児の定期接種は必ず期日までに実施する
・成人や高齢者もブースター接種を検討
・咳エチケットの徹底と手指衛生
・症状が出たら速やかに医療機関を受診し、感染拡大を防止するために外出を控える
・保育施設や学校はマスク着用、換気、共用部の消毒を強化する
百日ぜきの累計患者数は2025年に入り急激に増加し、6月15日時点で3万1966人と過去最多を更新しました。重症化リスクの高い乳幼児を守るため、小児だけでなく成人・高齢者の追加接種やマスク着用の徹底が不可欠です。医療機関・行政の連携強化と、国民一人ひとりの感染予防行動が、今後の流行抑制の鍵を握ります。
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