内閣不信任案なら解散 首相検討
2025/06/03 (火曜日)
総合ニュース
内閣不信任案なら解散検討 首相、森山氏と方針共有 立憲の動き牽制
石破茂首相は2日、立憲民主党から内閣不信任決議案が提出された場合、採決を待たずに衆院を解散する方向で検討に入った。首相は自民党の森山裕幹事長とこうした考え方を共有。首相側には不信任案提出をめぐる立憲側の動きを牽制(けんせい)する狙いがあり、6月22日の通常国会の会期末に向けた与野党間の駆け引きは激化している。
2025年6月2日、共同通信は立憲民主党が内閣不信任決議案を提出した場合、石破茂首相が採決を待たずに衆議院を解散する可能性が浮上していると報じました。石破首相は自民党の森山幹事長とすでにその認識を共有しており、「不信任案を出された場合は衆院解散も視野に入る」と発言しているといいます。これにより、夏の参院選に合わせた衆参同日選挙の実現も視野に入る状況になりましたが、一方で物価高対策や対外政策など緊急課題が山積するなかで、政治空白を招くリスクへの懸念も政権内に根強く存在しています。
2024年10月の衆院選後、自民・公明の与党は少数議席での政権運営を強いられてきました。とくに、農林水産政策を巡る「コメ問題」や、トランプ政権の高関税措置に対する対応など、政府には緊急を要する課題が山積しています。そのような状況下で、立憲民主党は野党再編や参院選挙区での候補擁立を巡り自民党を批判しており、国会内での攻防は激化しています。
その結果、立憲民主党幹部は「与党が国民の理解を欠いたまま重要課題を先延ばしにしている」として内閣不信任案を検討。野党側が提出してくれば採決直前に解散を視野に入れるという石破首相の姿勢が報じられ、政局が大きく動く可能性が高まっています。
日本国憲法第69条では、衆議院が内閣不信任決議案を可決した場合、内閣は10日以内に衆議院を解散するか総辞職しなければならないと定められています。また、内閣は不信任案が提出される前でも、自主的に衆議院を解散する権限を持っています。今回の報道は、石破首相がこの「総理大権」をいわゆる“フライング解散”として行使する可能性を示唆したものであり、政権の安定性と制度運営のバランスが焦点となっています。
与党内では解散タイミングを巡って意見が分かれています。解散によって参院選と同日に選挙戦を行えば、コスト削減や対抗策を同時に打てるという利点がある一方、現在進行中の物価高対策や外交課題に政治空白を生む恐れがあり、国民の理解を得られないとの慎重論も根強い状況です。特に自民党内には、「解散を先行させると政策議論が停滞し、国民の反発を招く」という声があり、解散決断は与党内の調整を必要としています。
立憲民主党は内閣不信任案の提出を通じて与党を揺さぶりつつ、自らの政策課題を国会で取り上げる戦略を取っています。与党が解散を回避した場合、採決を経て不信任案が可決されることで内閣は総辞職しなければなりません。また、そこから新たな内閣が発足すると憲政史上稀な政局の長期化を招き、野党側としては与党の分裂・混乱を狙う思惑があると考えられます。
六月上旬には野党による内閣不信任案提出の可否が明らかになる見込みです。以下の4つのシナリオが想定されます。
政府・与党としては参院選を念頭に置きつつ、国民支持を維持するための政策説明会や地方遊説を強化する必要があります。野党側は不信任案を梃子に政権攻勢を強める一方、党内結束を図るための党運営の見直しが求められます。
衆参同日選挙となれば、政府は短期間で幅広い政策パッケージをまとめて国民に提示する必要があります。とくに注目されるのは以下の3点です。
今回の「内閣不信任案提出なら解散論浮上」という報道は、政権与党と野党の攻防戦を通じて、来る夏の国政選挙を巡る政局の行方を左右する重大な局面を示しています。石破首相が解散を決断すれば、参院選との同日選挙や政策議論の先延ばしといったリスクを伴います。野党側も内閣不信任案を有効活用することで与党の弱体化を狙っています。今後は国会審議と党内調整が同時並行で進み、国民の関心は政策の中身と「政権交代の是非」に集中するとみられます。与党・野党ともに選挙戦略を練り直し、貴重な集中審議期間を有効活用することが求められます。
コメント:0 件
まだコメントはありません。