日鉄・橋本会長「10年後、必ず世界一に復権」 日米で中国封じ込め

日鉄・橋本会長「10年後、必ず世界一に復権」 日米で中国封じ込め

2025/07/07 (月曜日)

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日鉄・橋本会長「10年後、必ず世界一に復権」 日米で中国封じ込め
日本製鉄の橋本英二会長兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に対し、粗鋼生産量を今後10年で現在の6割増となる1億トンに引き上げる計画を明らかにした。橋本氏は「10年後、必ず世界一に復権する。そのために今、集中して投資する必要がある」と強調した。買収が完了した米鉄鋼大手USスチールやインドなどの拠点で一気に増産を進め、中国勢に対抗する。

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日鉄・橋本会長「10年後、必ず世界一に復権」──日米・インド拠点強化で中国勢に挑む

日本製鉄〈日鉄〉の橋本英二会長兼CEOは日本経済新聞の取材に対し、「今後10年で粗鋼生産量を現在の約6割増となる1億トンに引き上げる計画」を明らかにし、「10年後には必ず世界一に復権する」と強調した。買収が完了した米USスチールやインドの製鉄所を中心に投資・増産を加速し、中国勢を封じ込める構えだ(出典:日本経済新聞 )。

日鉄の歩みとグローバル再編の歴史

日鉄は旧新日本製鉄(2012年合併)と住友金属工業の流れを汲む企業で、2019年4月に現社名へ改称。戦後の八幡製鐵を起点に高度成長期には国内最大手として世界3位前後の生産量を誇ったが、2000年代以降は中国宝武やアルセロールミタルなどに抜かれ、世界ランキングで下位に甘んじてきた。ここ数年は製鉄所の統合や高炉設備の省エネ化、EV向けの高級板鋼板開発などで業績を回復している(出典:Wikipedia)。

米USスチール買収とインド拠点の強化

2025年1月、日鉄は約149億ドルで米鉄鋼大手USスチールの買収を正式に完了。川�政権の承認が下りず一度は頓挫したが、6月にトランプ前政権下での大統領令により再承認された。USスチールの製造能力(粗鋼約1200万トン)は北米市場への足がかりとなり、日鉄グループの生産拠点は国内7カ所に加え米国7カ所、インド3カ所に拡大。これにより日米印の3極体制が整い、中国向け輸出減少リスクのヘッジが可能となった(出典:日本経済新聞)。

世界の鉄鋼業界再編と競争環境

世界粗鋼生産量の約半分を占める中国勢は、国家主導の過剰能力引き締め政策を行う一方、依然として巨大な生産力を背景に廉価鋼材で国際市場を席巻している。欧州最大手アルセロールミタルは約9000万トン、インドのタタ・スチールは約3400万トンを生産。日鉄が再び首位を獲るには、品質・コスト両面で中国・インド・欧米勢を上回る競争力が不可欠だ。

比較:日本以外の国策型プロジェクト

――中国宝武集団(粗鋼約9300万トン)は国策的支援を受け、統合によるスケールメリットを追求。また、欧州連合は脱炭素化に伴う「グリーンスチール」開発投資を進め、公共調達でEU製鋼企業を優遇する動きがある。韓国のポスコも約3000万トン規模でEV用高張力鋼板の拡販に注力。これらと正面から渡り合うには、日鉄の巨大投資と技術革新がカギとなる。

国内製鉄業の課題と労働力確保

国内の高炉は熟練技術者の減少と厳しい環境規制、エネルギーコスト上昇に直面している。日鉄は自動化・AIによる生産最適化、省エネ設備導入で製造コストを年率数%ずつ低減し、さらには技能継承プログラムを全国20拠点で展開。若年層の採用・定着を強化し、次世代技術者の育成にも注力している。

環境・脱炭素対応と製品多様化

2050年カーボンニュートラル実現に向け、日鉄は水素還元製鉄技術の実用化試験を千葉製鉄所で開始。CO₂排出削減効果は高炉法比で50%程度見込まれ、水素・電炉の複合運用による「ハイブリッド製鉄」への転換を目指す。高付加価値鋼板(自動車・建築・エネルギー用途)やリサイクル鋼材の拡販にも注力し、ビジネスリスクの分散を図る。

地域経済・サプライチェーンへの影響

日鉄の増産投資は、国内製鉄所周辺の地域経済活性化につながる。鋼材需要増加に伴う港湾・物流インフラ整備は地方自治体と連携し、連続稼働率を高めると同時に、下請け企業の技術力向上支援を行う。米国・インドでも同様に現地雇用を創出し、地域貢献と地政学リスク分散を両立する戦略だ。

今後の展望とステップ

  • 2026–28年:USスチール統合効果を本格化し、北米市場シェアを15%→25%へ拡大。
  • 2027–30年:インド・ジャムシェドプル製鉄所の第2高炉建設で年間生産能力を600万トン増強。
  • 2030–35年:水素還元製鉄のコスト競争力を確立し、欧州・東南アジア市場で「グリーンスチール」製品を投入。
  • 2035–40年:脱炭素生産の市場先行者としてサプライチェーンを構築、中国に代わるアジア製鋼拠点として機能強化。

まとめ

橋本英二会長の「10年後、必ず世界一に復権する」という宣言は、日鉄が過去の栄光を取り戻すだけでなく、中国勢の価格攻勢と環境規制強化の狭間で生き残るための強烈な決意表明だ。USスチール買収やインド拠点の増強はグローバル生産体制の要となり、国内高炉の省エネ化・技能継承、水素還元・電炉技術導入は脱炭素時代への対応策を示す。

しかし、中国の国策的鋼鉄再編、欧州・米国のグリーンスチール支援など世界各国が国家主導で競争力強化を図る中、日鉄単独の投資と技術革新だけで首位回復は容易ではない。国内外の規制・需給動向を見極めつつ、地域経済やサプライチェーン、脱炭素技術の社会実装を高めることが不可欠だ。10年後の世界一復権に向け、日鉄は「規模の経済」と「技術の先進性」を両輪とした攻めの経営を続ける覚悟を問われている。今後の成否は、日本製鉄だけでなく、日本の産業競争力全体を占う試金石となるだろう。

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