JOC 竹田氏を名誉会長に推薦へ
2025/06/09 (月曜日)
総合ニュース
日本オリンピック委員会(JOC)が10日に開く理事会で、竹田恒和前会長(77)を名誉会長に推薦することが分かった。9日、関係者が明らかにした。2001~19年に会長を務め、13年に開催が決まった東京五輪の招致委員会理事長として尽力。大会組織委員会の副会長も担った。
日本オリンピック委員会(JOC)は2025年6月10日に理事会を開催し、竹田恒和前会長(77)を名誉会長に推薦する方針を固めました。竹田氏は2001年から2019年まで18年間にわたりJOCのトップを務め、特に2013年に東京オリンピック・パラリンピックの招致委員会理事長として招致成功に尽力しました。本稿では、竹田氏の経歴と功績、JOCにおける会長職の意義、東京五輪招致から大会運営、退任後の動向に至るまで、その背景と歴史を詳しく解説します。
竹田恒和氏は1948年、広島県生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、三得物産(現TSIホールディングス)に勤務。1970年代からスポーツ振興に関わり、1999年にJOC理事に就任しました。2001年のJOC会長就任時には、日本スポーツ界を取り巻く課題であったマネジメント力や国際的プレゼンスの強化を掲げ、組織改革と財政基盤の安定化を推進しました。
会長在任中の主な成果には、公益法人化に伴う組織ガバナンスの再構築、国内外の協賛企業拡大、選手強化プログラムの整備などが挙げられます。とりわけ、2013年9月のIOC総会における東京招致成功は、竹田氏のリーダーシップと外交力が高く評価された瞬間でした。
竹田理事長は招致活動の旗振り役として、国内外の要人との折衝を重ね、演出面でも3分間のプレゼンテーションで東京の魅力をアピール。震災復興のシンボルとして「希望の灯」を掲げた演出は世界の注目を集めました。大会組織委員会では副会長として、大規模ボランティアの運営や施設建設、観客誘致戦略に関与し、2020年および2021年の大会実施に大きく貢献しました。
競技場のレガシー計画やリスク管理体制の構築など、大会終了後も持続可能なスポーツ振興を見据えた施策を数多く推進。大会後の運営評価では財務的な黒字化こそ達成できなかったものの、参加者と観客の満足度は高く評価されました。
2019年の会長退任後、竹田氏はJOC副会長として一定期間組織に関与しましたが、2021年に副会長職も辞任。その後は世界ラグビー連盟(World Rugby)会長顧問や国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)のパネルメンバーなど、国際スポーツ界の要職を歴任しました。2023年以降は、若手スポーツリーダーの育成やスポーツを通じた地域振興など、講演や執筆活動を通じて日本スポーツ界に貢献してきました。
今回、JOCが名誉会長への推薦を決めた背景には、招致成功から大会運営、組織改革まで一貫してリーダーシップを発揮した竹田氏の功績を後世に伝える狙いがあります。名誉会長の職務は主に儀礼的役割と諮問的助言であり、現役会長の補佐として総会や祝賀行事での登壇が期待されます。
JOCの名誉会長は、かつて会長や副会長を務めた人物が就く慣例があり、組織の歴史と伝統を象徴する役職です。名誉会長の主な役割は、国内外への対外的なメッセージ発信や大きな節目の式典での祝辞、大会や大会運営に関する諮問を受けることなどです。また、スポーツ行政とのパイプ役として、政府や他スポーツ団体との調整役も担います。
歴代の名誉会長には、前田武彦氏(初代)、森永卓郎氏(2代目)などがあり、いずれも国内スポーツの発展に寄与した人物が選ばれてきました。竹田氏の推薦は、JOCの組織体制を強化し、国内外の理解を深めるシンボル的意味合いを持ちます。
竹田氏の功績として、招致成功や組織改革、国際競技団体での影響力強化などが高く評価されています。一方で、招致の過程での接待問題や支出の透明性課題、大会後の莫大な負債問題を巡る批判も根強く、組織運営のガバナンス強化の必要性が指摘されてきました。名誉会長就任にあたっては、過去の課題を克服しつつ、スポーツ界の信頼回復にどこまで寄与できるかが注目されます。
東京大会を契機に、日本全国でスポーツ振興への機運が高まり、地方自治体や企業の参画が進んでいます。竹田氏には、名誉会長としての経験を活かし、地方創生や青少年育成、国際交流の推進などを支援する役割が求められます。また、JOC内部では、2026年アジア大会や2028年パリ五輪に向けた日本選手団の強化、中長期的なスポーツ産業の育成戦略の策定など、多岐にわたる課題に対し、諮問的立場で提言を行うことが期待されます。
JOC理事会の竹田恒和前会長の名誉会長推薦は、東京五輪招致成功から大会運営、組織改革に至る一貫した功績を顕彰するものです。18年間のリーダーシップを経て、新たに諮問的立場でスポーツ界へ貢献する竹田氏の手腕と経験が、今後の日本スポーツ振興にどのような影響を与えるか注目されます。批判的視点も踏まえつつ、持続可能なスポーツ行政と国際協力のモデルを築く鍵として、大きな期待が寄せられています。
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