雨の中さまよう2歳 保護した男性
2025/06/11 (水曜日)
総合ニュース
雨の朝、次々と車両が行き交う路上を全身ぬれた状態でさまよっていた2歳の男の子を、ワゴン車で通りかかった男性が保護した。男の子は家族が目を離したすきに1人で外に出てしまい、そのままでは交通事故に遭う危
2025年6月11日朝、群馬県大泉町の町道で濡れた路面に次々と車両が行き交う中、全身ずぶ濡れの2歳男児が一人で道路上をさまよっているのを、通りかかった71歳の男性・横田昇幸さん(栃木県足利市在住のパート従業員)が発見・保護しました。男児は、家族が家の中で目を離した隙に一人で外へ飛び出し、交通事故に巻き込まれる寸前の危険な状況にあったと報じられています。
発見は5月6日午前8時40分ごろ。男児を乗せた白い長袖の“パジャマ”姿の小さな体は、雨に濡れて冷たく震えていたといいます。横田さんはワゴン車で前を走る乗用車がわずかにハンドルを切る様子に気づき、路上に異常があると判断。すぐに車を近くのコンビニ駐車場に停車し、男児を抱きかかえて道路脇のコインランドリーの屋内へ避難させました。その後110番通報し、駆けつけた警察官に引き渡しています。
横田さんは普段、1日70キロ前後を軽トラックやワゴン車で走る“ベテランドライバー”。これまでにも、夜間に倒れている人を発見して救急通報したり、転倒してけがをした高齢女性を助けて救急車を手配したりと、地域での「さりげない善行」が複数記録されています。大泉署署長からは「思いやりの心で、多くの命を救っていただいた」と感謝状が贈られました。
近年、幼児が家庭の目を離れた隙に道路へ飛び出す事案が各地で相次いで報告されています。総務省消防庁の統計によれば、2024年度には「子どもの道路上での危険行為による救急搬送」が前年比10%増加。都市部の住宅密集地や通学路周辺では、交通量と歩道・車道の区別の曖昧さがさらなるリスク要因となっています。
これらの事例からは、家庭内の目配り不足だけでなく、地域社会全体での危険予知と迅速な通報・救助体制の強化が求められています。
国土交通省の「子ども安全白書」(2024年版)では、歩行中の子どもの事故防止策として以下の取り組みが提言されています。
しかし、多くは都市部限定のモデル事業にとどまり、全国的な普及には予算・人手不足が障壁となっているのが現状です。
今回の救助を契機に、群馬県や大泉町では以下の追加対策を検討しています。
また、国交省は2025年度予算案に「子ども安全インフラ整備補助金」を盛り込み、全国自治体への補助拡大を目指しています。
雨の朝、命の危機にさらされていた2歳男児を救った一連の出来事は、幼児の交通事故防止の重要性を改めて示しました。行政・学校・家庭・地域住民が一体となった見守り体制の構築と、ドライバーの「気づき」を支える社会インフラ整備が一刻も早く求められます。今回のような「さりげない善行」がいつでも起こり得る環境をつくることが、子どもたちの安全を守る最大の鍵となるでしょう。
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