家賃2.5倍と通知 中国では普通?
2025/06/11 (水曜日)
東京・板橋区の家賃72500円のマンションが、今年8月から突然約2.5倍の19万円に値上げされると家主から一方的に通知された問題が波紋を呼んでいる。いつの間にかオーナーは中国人に変わっており、家賃の値上げだけでなく、民泊も同じマンションで行われていたことが発覚した。また、住民を追い出すためなのか、マンションのエレベーターも急に停止されていた。一部のメディアが中国に住むオーナーを直撃すると、一転して「値上げを撤回する」としたが、この問題により、改めて外国人による不動産購入問題が注目されている。
東京都板橋区にある築40年以上の7階建て賃貸マンションで、従来月額72,500円だった家賃が、今年8月分から一方的に月額190,000円へと約2.6倍に引き上げられる通知がオーナーから届きました。家主は今年1月に中国人とみられる新会社へ所有権が移転し、同時期にマンション内の2部屋が無届けの民泊物件として稼働していたことも判明。追い打ちをかけるようにエレベーターが「不具合」を理由に停止され、住民の約4割が退去を余儀なくされています(出典:朝日新聞)
2010年代以降、東京や大阪の都心部を中心に、海外の個人・法人による収益物件購入が拡大しました。特に中国、香港、台湾の投資家が築古マンションの一棟買いで高利回りを狙う動きが活発化。2016年には実勢価格の30~50%高で取引される事例も報告され、不動産市況に大きな影響を与えています。
賃料改定は賃貸借契約の当事者間で合意した場合にのみ有効ですが、一方的な通知による大幅値上げは「賃料減免請求」や「協議申し入れ」を求める法的権利が借主に認められています(借地借家法28条)。また、家賃相場とかけ離れた改定は「不当利用」や「公序良俗違反」に問われる可能性もあります。
管理会社の説明によると「急な不具合で部品交換が必要」とされましたが、住民証言では停止直前まで正常稼働しており、再開時期も明示されなかったことから、「意図的に住民の退去を促す措置では」と疑問の声が上がっています。エレベーターは建築基準法や消防法上の防火区画維持、バリアフリー確保にも関わるため、長期間停止は行政指導の対象となり得ます。
このマンションでは空室2部屋が民泊サイトに無届けで登録され、日単位で貸し出されていた事実が確認されました。旅館業法では「簡易宿所営業」の許可が必要ですが、許可を得ずに客室を転用すると法律違反となり、営業停止命令や罰金が科される場合があります(旅館業法3条、16条)。無許可民泊は住民生活のトラブルを招くことも多く、マンション管理組合との間で紛争の火種となってきました。
東京23区の平均賃料は2000年以降上昇を続け、特に都心近傍の築古物件の空室率低下が顕著です。民間調査によると、2015年から2025年にかけて築40年以上の住宅の平均家賃は約20%上昇。投資家が高い利回りを求め築古に流入する中で、長期居住者は家賃交渉力を失い、一方的改定を受けやすくなっています。
この問題は2025年6月9日の国会質疑でも取り上げられ、不動産所有権移転後の大幅家賃改定を規制する法改正案が議論されています。東京都では「賃料改定幅の上限設定」や「管理組合の承認なしには大改定を不可とする条例案」が検討され始め、他自治体でも動向に注目が集まっています。
住民グループは行政窓口への相談、弁護士への法律相談を開始。借地借家法に基づく賃料減額請求、民泊無届け営業への行政通報、エレベーター停止への建築基準法違反申立など、複数の法的手段を組み合わせて対抗しています。過去の裁判例では、相場を大きく上回る賃料改定を不当と判断した例もあり、借主側にも一定の勝算があります。
香港やシンガポールでは、外資による住宅投資を制限し、外国人に「追加印紙税」を課すことで投機的買いを抑制しています。英国ロンドンでも「非居住者税」を導入し、住宅空室を防ぐ施策を展開。日本でも、同様の税制措置や所有者情報の透明化を求める声が強まっています。
外国人投資家の不動産取得自体を制限する動きは憲法上の財産権保障と衝突しかねないため慎重な議論が必要です。一方、借主保護の観点からは、賃料改定の透明化、民泊転用規制の強化、管理組合権限の拡大など、複合的な規制整備が求められています。住民の安心・安全な居住環境を守るため、法制度と行政監督の強化が急務です。
板橋区マンションの家賃大幅引き上げと民泊無届け運用、エレベーター停止問題は、海外マネー流入がもたらす住宅市場の脆弱性をあらためて浮き彫りにしました。借主と地域コミュニティが連携し、法的手段と行政対応を通じて抑制策を講じることが求められます。社会全体で居住権を守る仕組みを再構築し、安心して暮らせる住宅市場の未来を築いていきましょう。
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