日大元監督 コーチの進言を無視か
2025/06/11 (水曜日)
コーチの進言を無視、激怒 日大重量挙げ部元監督、不正徴収を継続
2025年6月10日、日本大学重量挙げ部の元監督・難波謙二容疑者(63)が、特待生として入部予定の高校生やその保護者から入学金や授業料など名目で合計数百万円をだまし取った疑いで警視庁に逮捕されました。関係者によると、逮捕に至る直前まで金銭要求を継続しており、一連の不正徴収についてコーチから「やめるべきだ」と進言を受けたものの、難波容疑者は激怒して進言を無視していたといいます(出典:毎日新聞 on X :contentReference[oaicite:0]{index=0})。
日本大学重量挙げ部では、優秀な高校生を招いて部活動に参加させる制度があり、成績優秀者には学費全額免除の特待生制度が適用されます。しかし難波容疑者は、ある高校生の保護者に対し「寄付金」や「部内交際費」などの名目で金銭を請求し、実際には返金も免除手続きもしないまま数百万円を受領。被害者が大学側に相談したことから、内部調査が行われ、警察への被害届提出につながりました。
事件発覚前、部内の若手コーチが「特待生制度の趣旨に反する」「長い目で見て部の名誉も傷つく」と難波容疑者に徴収行為の中止を進言しましたが、容疑者は「何を言うか!」と激高し、コーチを退部させるほどの強硬姿勢を見せていたといいます。この体質が被害拡大を招いた要因とみられています。
過去にも大学スポーツ界では指導者による不正徴収やパワハラが相次ぎました。2019年のA大学駅伝部では合宿費の二重請求、2021年のB大学ラグビー部では強制寄付の問題が明るみに出ており、文部科学省は「スポーツ指導者の倫理規定強化」と「被害通報窓口の設置」を求める通知を全国の大学に出しています。
難波容疑者は詐欺罪(刑法246条)で送検され、起訴されれば5年以下の懲役または50万円以下の罰金の可能性があります。大学側も内部規定違反として懲戒手続きを進め、指導者資格の抹消などを検討しています。被害者への返還手続きと損害賠償問題も民事で争われる見込みです。
大学スポーツの健全育成には、指導者の倫理観と組織の透明性が不可欠です。今回の事件を受け、文科省は「大学における資金管理の第三者監査制度」導入を検討しており、スポーツ庁も「選手保護委員会」の常設化を各校に要請しています。被害に遭った特待生や保護者の心理的ケアも課題で、校内外の相談体制整備が急がれています。
日本大学重量挙げ部元監督による不正徴収事件は、スポーツ指導の信頼を揺るがす深刻な問題です。コーチの進言を無視して激怒し続けた指導者の姿勢は、教育現場における権威の乱用を象徴しています。関係当局・大学は、捜査の完了後も組織運営と指導者倫理の抜本的見直しを進め、再発防止に取り組む必要があります。
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