北朝鮮がトランプ氏書簡拒否 報道
2025/06/12 (木曜日)
【北京共同】北朝鮮専門サイト「NKニュース」は11日、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記に書簡を送ろうとしたが、北朝鮮側が受け取りを拒否したと報じた。情報筋の話としている。書簡は米朝対
2025年6月11日、北朝鮮専門サイト「NKニュース」は、トランプ米大統領が金正恩朝鮮労働党総書記宛に書簡を送ろうとしたものの、北朝鮮側が受け取りを拒否したと報じました。書簡には米朝対話再開への意向が盛り込まれていたとされますが、両国の関係は再び冷え込んでいます。この記事では、米朝交渉史の概観、2018~19年の“親書外交”の成果と限界、今回の受け取り拒否の背景要因、そして今後の展望について多角的に解説します。
朝鮮半島は1950~53年の朝鮮戦争を休戦協定で終えたまま、正式な平和条約は未締結です。以降、北朝鮮は核開発を推進し、米国は「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を要求。1970年代以降、対話と制裁の繰り返しが続きました。
トランプ大統領は2018年6月にシンガポールで金正恩総書記と初会談し、親書の交換を通じて「美しい書簡」と称賛。2019年には板門店での会談も実現し、米朝協議は一時的な熱狂を呼びました。しかし具体的な非核化合意には至らず、協議は膠着状態に戻りました。
NKニュースによると、トランプ氏は2025年初頭から再び金正恩氏宛に書簡を準備。ニューヨークの国連代表部を通じて複数回の手渡しを試みたものの、北朝鮮側の外交当局が「正式な政府間文書として認めない」として一切受け取りを拒否したとされています :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
外交カードとしての“未受領書簡”は、国際社会に対し「我々は対等な交渉相手だ」というメッセージ送付に利用されます。金正恩氏は「核保有国としての地位承認」を前提条件とする姿勢を示しており、書簡拒否はその要求を浮き彫りにする手段とも言えます。
ホワイトハウスは「大統領は引き続き金正恩氏との対話に前向きだ」(報道官発言)と表明し、書簡送付の意図を重ねて強調。一方、中国・ロシアは北朝鮮の立場を擁護しつつ、「緊張緩和」を呼びかけています。日本や韓国は「朝鮮半島の非核化再開」を改めて要請しました。
ベトナム戦争後の米越関係正常化や米イラン核合意交渉(JCPOA)など、過去にも長期間の敵対関係から書簡外交を通じて対話の糸口を探った例があります。成功には相互の信頼構築と具体的な履行メカニズムが不可欠であり、現状の米朝間には依然として隔たりが大きいと言えます。
北朝鮮がトランプ大統領からの書簡受け取りを拒否した事実は、米朝関係の停滞ぶりを改めて示しました。2018~19年のサミット期を再現するには、核問題と安全保障保証を巡る根本的な立場の隔たりを埋める必要があります。国際社会は、書簡外交を含むあらゆるチャネルを通じて、朝鮮半島の非核化と平和体制構築に向けた現実的な道筋を模索し続けることが求められています。
出典:NK News、共同通信(Kyodo)、Reuters
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