トンネル逆走事故 運転は99歳男性
2025/06/12 (木曜日)
逆走車は99歳男性が運転していた 目撃者「ポカーンとした感じ」恵那山トンネル内で正面衝突事故 男性2人がケガ 中央自動車道
2025年6月11日午後2時30分ごろ、岐阜県中津川市の中央自動車道下り線・恵那山トンネル内で、軽乗用車同士が正面衝突する事故が発生しました。警察の調べで、逆走していたのは長野県阿南町在住の99歳男性で、約3.7kmにわたりトンネル内を逆方向に走行した末に衝突したことが判明しました。この事故で、逆走車を運転していた99歳男性は軽傷、もう一方の車を運転していた男性(年齢非公表)は重傷を負いました。
(出典:TBS NEWS DIG「逆走車は99歳男性が運転していた 目撃者『ポカーンとした感じ』恵那山トンネル内で正面衝突事故」 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1973335?display=1)
逆走車は長野・園原ICから中央道に入り、恵那山トンネル岐阜側出口付近のチェーン脱着場で一度入場後、Uターン。そこから入ってきた上り線方向に向かって逆走し、対向してきた別の軽乗用車と衝突しました。トンネル内は急カーブが続き、照明はあるものの見通しが効きにくい区間で、目撃者は「口を開け、ポカーンとした表情でハンドルにしがみついていた」と証言しています。
(出典:朝日新聞「中央道のトンネル逆走事故、99歳が運転 チェーン脱着場でUターン」 https://www.asahi.com/articles/AST6D1F81T6DOHGB004M.html)
高速道路上の逆走事故は年間約200件発生しており、そのうち高齢運転者(75歳以上)の関与割合は年々増加傾向にあります。警察庁の統計によると、2024年中の高速逆走事故で75歳以上が巻き込まれたケースは全体の約30%に達しています。要因として、認知機能低下や夜間視力低下、カーナビ操作ミスなどが挙げられ、特にトンネル入口付近での誤進入が目立ちます。
(出典:警察庁「高齢運転者対策の推進」 https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/elderly_driver.html)
恵那山トンネルは全長約5.8kmで、中央道の最長トンネルのひとつ。照明と換気設備が整備されているものの、連続する急カーブと路面勾配により、スピード感覚が狂いやすく、視界不良時の逆走リスクが高まります。トンネルの構造上、センターラインを越えると避ける余地がなく、正面衝突につながりやすい危険区間です。
(出典:国土交通省「道路トンネル技術ガイドライン」2023年版)
逆走行為は道路交通法違反に加え、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)に問われます。有罪判決となった場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、高齢運転者に対しては認知機能検査や講習の受講命令、免許停止・取消しなど厳格な行政処分が強化されています。
(出典:道路交通法第117条/自動車運転死傷処罰法第2条)
2018年にも同じく中央道のトンネルで逆走バイクとの衝突事故が発生し、高齢バイク運転者が死亡。2019年には名神高速で高齢ドライバーが逆走し、追突事故を起こした例もあります。いずれも免許返納前の高齢者による誤進入が原因で、同様の事故が全国で報告されています。
日本では75歳以上の免許更新時に認知機能検査が義務化され、一定の基準を下回ると医師の診断や講習受講が必要です。しかし、講習の待ち時間や受講機会の限界、交通手段の確保といった課題が残り、更新率は依然高水準。認知機能低下を自覚しづらい高齢者への適切な支援が急がれています。
(出典:国土交通省交通政策審議会答申2024)
恵那山トンネル内での99歳男性による逆走・正面衝突事故は、高齢ドライバーの認知機能低下やトンネル構造の特性が複合的に作用した結果です。高速道路における逆走事故を根絶するには、技術的対策と高齢者支援策を組み合わせた総合的アプローチが必要です。安心・安全な道路交通環境を維持するため、行政・地域・家族が協力して「減災・防止」に取り組むことが急務となっています。
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