コメ高値での転売禁止を閣議決定
2025/06/13 (金曜日)
政府は13日、コメの高値での転売を禁止するため、国民生活安定緊急措置法の政令改正を閣議決定した。6月中にも適用可能となる。小泉進次郎農相は13日の閣議後の記者会見で、備蓄米を念頭に「安価なコメが安定
政府は2025年6月13日、備蓄米を含む全ての米穀の高値転売を禁止するため、「国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定した。公布翌日の6月23日から適用され、小売店やネット通販で購入した精米・玄米を取得価格を上回る価格で不特定多数に転売する行為が禁じられる(出典:農林水産省「米穀の転売規制について」, 朝日新聞)。
改正政令では、随意契約で放出される政府備蓄米(5kgあたり約2,000円で販売)をはじめ、市場流通中の精米や玄米、無洗米など「米穀」全品目が対象となる。規制対象者は購入者全員で、購入価格を超える金額での再販売やオークション出品、ネットショップでの上乗せ販売などが禁止される(出典:共同通信、時事通信)。
違反者には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金、あるいはその両方」が科される。これまで新型コロナ禍のマスク・消毒液の買い占め防止にも同法が適用され、罰則運用の前例がある(出典:時事通信、共同通信)。
国民生活安定緊急措置法は1973年(昭和48年)12月に第一次オイルショックへの対応として制定され、トイレットペーパー騒動をはじめとする生活必需品の品薄・価格高騰を抑えるための緊急措置を定めた法律である。政令で指定した物資の生産・輸入・販売を統制し、転売規制や配給制度、価格統制など段階的措置を可能とする枠組みを有している(出典:Wikipedia「国民生活安定緊急措置法」, コトバンク)。
制定当初は灯油、LPG、トイレットペーパー、ちり紙の価格統制を実施。近年では2020年春のマスク・消毒液不足時に同法を活用して買い占め・転売を禁止し、品薄解消に寄与した。また、過去には放射能汚染にともなう食料品流通の緊急措置も検討されている(出典:コトバンク, 朝日新聞)。
2025年に入ってからも国内の米価は高止まり傾向にあり、政府は備蓄米約20万トンの放出や生産調整の延長、米価を引き下げるための直接販売制度などを順次導入してきた。小泉進次郎農相は「安価なコメが安定的に消費者に届く」と強調し、備蓄米の転売防止を重要対策と位置づけている(出典:河北新報, 朝日新聞)。
世界最大のコメ輸出国であるインドも、国内価格の高騰を抑えるため非バスマティ米輸出禁止や最低輸出価格設定、破砕米の輸出規制などを断続的に実施してきた。2023年には非バスマティ白米の輸出を全品目で停止し、2025年3月に最終的に規制を解除したが、国内価格安定策として政府備蓄の活用や輸出調整を続けている(出典:Reuters)。
施行後は警察や消費者庁、農林水産省が連携し、スーパーマーケットやネット通販事業者、個人転売者への監視を強化する。適用対象の周知徹底や、違反摘発のための通報窓口整備が急務だ。また、中長期的には流通構造改革や小規模農家支援による供給体制の安定化も並行して進める必要がある。
コメの高値転売禁止は、「国民生活の安定」という法律の根幹目的に立ち返った緊急措置であり、消費者保護と食料安全保障の観点から極めて重要だ。1973年のオイルショック対応から50年以上続く同法の適用事例として、他の生活必需品でも活用可能なモデルケースとなるだろう。引き続き、国内外の事例に学びつつ、持続的な米価安定策を総合的に展開することが求められる。
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