同僚女性を殺害 男に懲役20年判決
2025/06/13 (金曜日)
同僚女性を殺害 男に懲役20年判決6/13(金) 15:53
【速報】同僚女性殺人 元団体職員の男(36)に懲役20年の実刑判決 甲府地裁 山梨
2025年6月13日、甲府地方裁判所(裁判長・西野牧子)は、昨年4月に山梨県甲府市内の職場駐車場で同僚女性(当時40歳)の首を絞めて殺害し、遺体を身延町の河川敷に遺棄したとして、殺人および死体遺棄などの罪に問われた元団体職員・小棹将太被告(36)に対し、懲役20年の実刑判決を言い渡した。裁判長は判決理由で「自己中心的かつ身勝手な犯行態様は極めて悪質で、強固な殺意に基づく行為と認められる」と指摘した 。
事件当日の2024年4月30日午後4時半ごろ、小棹被告は甲府市内の勤務先駐車場で、仕事を終え車に乗り込もうとした女性職員を待ち伏せ。女性が「話すことはない」「警察を呼びますよ」と拒絶すると、背後から両手で首を絞め、窒息死させた。その後、遺体を車に積み込み、身延町の河川敷へ遺棄したとされる 。
被告は事件以前から被害女性に対し、2022年5~8月の間にスマートフォンをスカートの下に差し込む盗撮行為を36回行い、USB型カメラによる下着狙いの盗撮も繰り返していた。さらに2021年には交際を申し込むも拒絶され、女性の冷たい視線に耐えられなくなったと検察は動機を推認した 。
本件は裁判員裁判で審理され、検察側は懲役22年を求刑。被告は起訴内容を全面的に認めたが、精神鑑定で「自己中心的な行動傾向」が指摘された。裁判所は「被告の反省の態度は限定的で、被害者の尊厳を著しく侵害した点を重く見る必要がある」として、求刑よりやや軽い懲役20年を選択した 。
職場でのハラスメントから暴力行為、最悪の場合は殺人に至る事例は全国で散見される。厚生労働省の2019年調査では、職場いじめ・嫌がらせの相談件数が前年度比15%増加し、相談者のうち3割が「継続的な精神的苦痛」を訴えている。対策として企業にはパワーハラスメント防止法に基づく相談窓口の整備や再発防止策の実施が義務付けられているが、現場で実効性ある運用が課題である 。
2017年の大阪・医療事務員殺害事件では、男性同僚が痴情のもつれを動機に女性を刺殺し、懲役18年の実刑判決を受けた例がある。また、2022年に東京で発生した同僚女性へのストーカー殺人事件では、懲役22年の判決が確定しており、被害者の安全を侵害した暴力行為に対して厳罰化の傾向が続いている。
本件判決は、裁判員裁判導入から15年を経た現在においても、一般市民が参画する刑事裁判の有効性を示す一方で、被害者保護や加害者の更生支援の在り方を問う。今後は、〈1〉職場でのハラスメント早期発見システム、〈2〉盗撮・ストーカー行為への立入禁止命令の活用、〈3〉被害者支援制度の拡充などを含む包括的対策の強化が急務となる。
事件を契機に、各地でPTSDなど精神的ケアを含む相談窓口の開設や、職場内モニタリング研修の導入が進められている。自治体や労働組合、企業は共同で専門家を招いたセミナーを開催し、「ハラスメントは犯罪の予兆」として早期対応の重要性を訴えている。
元団体職員による同僚女性殺人事件は、個人の欲望と職場環境の不備が生み出した悲劇であった。甲府地裁の懲役20年判決は被告の行為の重大性を厳しく断罪したものであり、再発防止のためには法的措置のみならず、企業文化や社会全体での人権尊重意識の向上が不可欠である。
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