空き家問題 自治体や隣人も被害
2025/06/14 (土曜日)
シロアリ・雨漏り・固定資産税 所有者も隣人も自治体も苦しむ「空き家問題」一方で活用して収入得る人も
近年、日本全国で増加する空き家は約900万戸に達し、放置されることで多くのトラブルを引き起こしています。一方で、巧みな利活用によって収益を得る事例も登場し、新たな地域再生のモデルとして注目を集めています。この記事では、シロアリ被害や雨漏り、固定資産税など放置による負担の実態と、民泊や店舗・カフェ、駐車場などを通じた空き家再生の手法を多角的に解説します。
放置空き家は景観を損ねるだけでなく、防犯面でも不安要素となります。空き家が不法侵入や放火、害獣の巣となるケースも少なくありません。自治体は特定空き家に指定して行政代執行や罰則を科すことができますが、実際には人手と予算を要するため、対応が追いついていないのが実情です。
バブル崩壊後の人口減少や都市部への一極集中、相続放棄などが空き家増加の主因です。2015年には空き家対策特別措置法が成立し、「特定空き家」制度や解体助成、利活用支援が整備されました。しかし、制度自体の認知度や運用体制の地域差により、十分に機能していないケースが多々あります。
築40年の空き家をリノベし、地元食材を使った古民家カフェに再生したケースでは、月間1万人の集客と売上300万円を達成。別の事例では、一日一組限定の高級宿泊施設に改装し、一泊5万円以上の単価で稼働率70%超を実現しています。
国や自治体では改修費用の補助、利活用コーディネート、専門家派遣などを行っています。特に地方創生交付金と連動すれば補助率が高まり、大規模改修やリノベ計画を経済的に後押しします。
利活用を検討する際は、耐震診断や給排水設備の状態確認、法令制限(用途地域や建築基準)を事前に把握することが不可欠です。また、権利関係の整理、維持管理体制の構築、将来的な撤退戦略も含めたライフサイクルコスト試算が成否を分けます。
空き家再生は個人の収益向上だけでなく、地域全体の魅力向上や若年層定住促進にも寄与します。空き家バンクやマッチングイベントを通じて、新たな起業者や移住者を呼び込み、コミュニティ活性化の起爆剤となり得るのです。
「放置する負担」から「活用する資産」へと転換すれば、空き家は所有者も地域も自治体も恩恵を受ける存在になります。法整備と支援制度の活用、地域連携を強化し、空き家問題を解決するとともに、地域の未来を形作る持続可能なまちづくりを推進していきましょう。
出典:関西テレビ報道、大手建築事務所事例集、国土交通省空き家総合対策資料
コメント:0 件
まだコメントはありません。