TOEICで不正疑い 中国籍10人聴取
2025/06/18 (水曜日)
TOEICで組織的不正疑い 中国籍の10人聴取 複数業者で横行か
2025年6月17日、警視庁は英語能力試験「TOEIC(トーイック)」の運営団体からの情報提供を受け、複数の中国籍受験者らが組織的に不正行為を行っている疑いがあるとして、関係先の業者や受験者計10人を任意聴取しました。受験票の偽造や替え玉受験、電子機器を用いたカンニングなど、複数の手口が複数業者を通じて横行していたとみられています。本稿では、TOEIC試験の概要と重要性、事件の経緯、組織的不正の手口、過去の事例との比較、中国側の代行業者事情、法的・制度的背景、今後の対策を詳しく解説します。
TOEICは1960年代に開発され、リスニングとリーディングの合計スコアで学習成果を数値化する世界共通テストです。2024年には日本国内で約210万人が受験し、企業の採用・昇進要件や大学入試利用も広がっています。就職市場でのスコア保有率は企業採用基準の38.9%で参照されるなど、日本人受験者のキャリア形成に直結する試験として位置づけられています:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
警察の調べによると、TOEIC運営団体が「同一の顔写真で異なる名前の申込が相次いでいる」「会場内で中国語が聞こえる」と相談したことを受け、捜査を開始。5月18日の京大大学院生逮捕事案に端を発し、同じ住所から複数人が申込をしていた例や、試験会場での不審行動が明らかになりました。今回聴取されたのは、試験会場運営を斡旋した複数の「代行業者」と受験者計10人で、容疑は受験票偽造、建造物侵入、及び不正行為の幇助などです:contentReference[oaicite:1]{index=1}:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
2025年5月、京都大学大学院生(中国籍)が偽造学生証で“替え玉受験”を図り逮捕された事例は象徴的です。被疑者は小型マイクをマスクに仕込み、別の受験者に解答を伝える役割を担っており、約3分の1の他受験者が欠席する影響が出ました:contentReference[oaicite:4]{index=4}。過去にも、一橋大学の入試や公務員試験で組織的な不正受験が確認されており、学歴主義社会を背景に代行業者が横行していました。
中国本土では「組織カンニング罪」が規定され、最高で有期刑10年が科せられる厳罰がある一方、国内の代行業者はオンライン掲示板やSNSで高額サービスを広告。TOEICの場合、電子機器プランは約40万円、替え玉プランは約80万円程度で高得点保証を行う悪質ビジネスが横行しています:contentReference[oaicite:5]{index=5}。法制度と現実の執行力のギャップが、海外での不正蔓延を招いているとの指摘があります:contentReference[oaicite:6]{index=6}。
日本のTOEIC運営団体は写真付き受験票と本人確認を徹底しつつも、試験会場での監視員配置や防犯カメラに頼る部分が大きく、代行業者の巧妙化には追いついていません。一方、中国では生体認証や顔認証による受験者本人確認技術が一部導入されており、不正防止策として有効視されています。両国の制度格差が、不正受験市場の温床となっている側面があると言えるでしょう。
組織的不正疑惑は受験者の信頼を著しく損ねるだけでなく、企業の採用選考におけるTOEICスコアの有効性を疑問視させかねません。また、教育機関での導入事例にも影響し、大学入試利用拡大の動きが鈍化する恐れもあります。受験料収入に依存する運営団体にとっては経営面のダメージも無視できません。
TOEICを狙った組織的不正は、国境を越えたビジネス構造と受験制度の脆弱性が重なった結果です。今回の中国籍10人聴取を契機に、運営団体・警察・教育機関が連携し、技術・制度・国際協力の三位一体で不正根絶を図る必要があります。受験者の信頼とスコアの価値を守るため、一刻も早い対策強化が求められます。
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