スペースXの宇宙船 地上で爆発

スペースXの宇宙船 地上で爆発

2025/06/20 (金曜日)

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「ワオ!NO!」イーロン・マスク氏率いるスペースXが開発中の大型宇宙船「スターシップ」が試験中に爆発・炎上 アメリカ・テキサス州

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はじめに:「ワオ!NO!」イーロン・マスク氏率いるSpaceXスターシップ試験中爆発・炎上

2025年6月18日午後11時頃(現地時間)、米テキサス州ボカチカにあるSpaceXスターべース施設で、イーロン・マスク氏率いるSpaceXが開発中の大型宇宙船「スターシップ」Ship 36が静止燃焼試験(スタティックファイヤー)中に大爆発・炎上しました。試験は次回の第10回試験飛行に向けた準備のためのものだったとされ、突然の大火球は近隣住民にも衝撃を与えましたが、幸い怪我人は報告されていません。マスク氏はSNS上で「ワオ! NO!(Just a scratch)」と軽く受け流すコメントを発信しました。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

1.事故の経緯と影響

Ship 36は6月18日午後11時過ぎ、スターべースのテストスタンドで6基のエンジンを同時点火する静止燃焼試験を行っていました。試験開始直後、機体下部から白煙が上がり、その約数秒後に巨大な火球となって爆発。炎と破片が数百メートル上空に舞い上がり、数キロ先まで衝撃波が届き住宅の窓ガラスを震わせました。SpaceXは「重大な異常(major anomaly)が発生した」と報告し、周辺住民への影響はないと強調しました。事故現場は即座に封鎖され、消防や保安部隊が消火・復旧にあたりました。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

2.スターシップ計画の背景と目的

スターシップ・プログラムは、完全再利用型超大型輸送システムを開発し、人類を火星へ運ぶという壮大な目標の下、2019年に本格始動しました。上段のスターシップ(約400フィート、高さ約120m)と下段のスーパー・ヘビー・ブースターを組み合わせることで、最大100トン以上の貨物や人員を地球低軌道や月、火星へ運ぶ計画です。SpaceXは「迅速な試作・テスト・改修」を重ねる「イテレーティブ(反復)開発」を採用し、未完成のプロトタイプを頻繁に飛行・爆発させることで設計をブラッシュアップしてきました。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

3.過去の失敗例との比較

今年に入ってからのスターシップは、既に3度の先行試験飛行で機体全壊や機体分離失敗などを経験しています。4月20日に行われた統合試験飛行1(Integrated Flight Test 1)では、離陸から約4分で機体が分解し爆発しました。同年5月と6月初旬のテストでも、それぞれ高度到達前の分離失敗やエンジン不調で爆発し、「高速データ取得による設計改良」というSpaceXの方針を裏付けています。今回の静止燃焼試験中の爆発は、飛行前のグラウンド試験での大規模事故としては初となり、プログラムのリスクと難易度を改めて浮き彫りにしました。:contentReference[oaicite:3]{index=3}

4.イーロン・マスク氏のコメント

爆発直後、マスク氏は自身のSNSプラットフォーム「X(旧Twitter)」に「ワオ! NO!」とだけ投稿し、その後「Just a scratch(ただの傷だ)」と続けて事故を軽視するかのように発言。SpaceX公式声明でも「安全プロトコルは正常に機能し、立ち入り制限区域内での試験だったため人的被害はゼロ」と強調しました。マスク氏はこれまで、爆発を「失敗」ではなく「必要な学習の一環」と位置づけ、開発ペースを落とさず次回試験への迅速な移行を図る姿勢を示しています。:contentReference[oaicite:4]{index=4}

5.NASAとの協力と月・火星ミッションへの影響

スターシップはNASAの有人月着陸システム(HLS)として2027年のアルテミスIIIミッションで宇宙飛行士を月面に降ろす契約を受注しており、2027年中のデモ着陸飛行が予定されています。NASAは2021年および2024年にSpaceXに対し約11.5億ドル規模の契約オプションを付与し、HLS開発を推進。今回の大規模事故はHLSの認証スケジュールに影響を及ぼす可能性があり、NASA当局は引き続きスケジュールと技術的マイルストーンの達成状況を注視するとしています。:contentReference[oaicite:5]{index=5}

6.技術的要因と原因調査の見通し

初期調査では、機首部にある高圧ガス用複合材タンク(COPV)が破損し、推進薬配管への過剰な圧力が連鎖反応を引き起こした可能性が指摘されています。Starshipは全長約120m、重さ5000トン超の大型機体であり、タンク構造や材料の限界が性能向上とのトレードオフとして浮上。SpaceXは次世代Block 2設計への移行を進めており、タンク材質やエンジン制御系の大規模改修を進める見込みです。:contentReference[oaicite:6]{index=6}

7.開発戦略と今後の予定

SpaceXはスターシップ開発の旗艦拠点をテキサス州スターべースに集約し、発射施設や製造ラインを急ピッチで整備中です。次回は6~8週間以内に再度静止燃焼試験を実施するとされ、成功すればSuper Heavyブースターとの統合試験飛行7以降の試験飛行に直結します。マスク氏は「テストは失敗を通じてのみ進歩する」との哲学を掲げ、年間数十回の試験を継続する姿勢を崩していません。

8.まとめ:挑戦と学習のサイクルとしてのスターシップ

スターシッププログラムは、宇宙輸送コストを劇的に下げ、人類を多天体居住へ導くための挑戦的プロジェクトです。今回の爆発は痛手ではあるものの、イテレーティブ開発の一環として捉えられ、得られた知見は次の設計改良に活かされます。SpaceXは今後も試験と失敗を積み重ねつつ、2027年の月面着陸、さらには火星有人ミッションを見据えた開発を加速させることでしょう。

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