自公「給付」に再びかじ 苦肉の策
2025/06/11 (水曜日)
自公が「給付」に再びかじ、他に公約の目玉見当たらず…改選迎える議員「選挙戦う武器ない」
夏の参議院選を前に、自民党と公明党の幹部は物価高対策として現金給付を共通公約に盛り込む方針で一致した。4月に一度検討されながら見送られた給付案が、野党の消費税減税打ち出しを受けて再浮上した格好だ。他に選挙での目玉となる公約が見当たらず、改選を迎える与党議員からは「選挙を戦う武器がない」との嘆きも漏れる◆:contentReference[oaicite:0]{index=0}
与党内には「減税より給付のほうが手続きが速く、家計支援として即効性がある」との意見がある一方、減税派は「給付は一時的効果にとどまり、貯蓄に回る懸念がある」と反論する。専門家は給付金が需要を喚起し逆に物価を押し上げるリスクを指摘し、根本的な物価高対策には至らない可能性を指摘している◆:contentReference[oaicite:1]{index=1}
直近の例では、2020年に実施された特別定額給付金(一人当たり10万円)は全世帯を対象に約12兆円を投じ、コロナ禍での消費回復に一定の効果を示した。しかし、同時に多くが貯蓄に回されたとの分析もあり、生活支援策としての実効性や財源の持続可能性が課題となった。今回の給付案も、同様の議論を呼び起こしそうだ◆:contentReference[oaicite:2]{index=2}
自公両党の現職議員からは「他に打ち出せる看板政策がない」「地域や世代ごとの課題に応える具体策が見当たらない」との声が根強い。特に地方選挙区では過去実績を強調しにくく、生活実感に直結する給付金が唯一の目玉政策と化しつつある状況が浮き彫りになっている◆:contentReference[oaicite:3]{index=3}
海外でも物価高対策として給付金と減税が論じられる。米国では2020年のCARES法で個人あたり1,200ドルの現金給付が実施されたが、多くが貯蓄に回り、消費刺激効果は限定的だった。欧州各国は食品やエネルギー税率を一時的に引き下げる減税策を採用し、給付と減税の組み合わせが有効とされたケースもある◆:contentReference[oaicite:4]{index=4}
野党第一党は消費税率の引き下げを公約に掲げ、減税の継続性を訴えている。共産党や立憲民主党も独自に一律給付を主張するなど、給付と減税を巡る争点が参院選の対決軸となる見込みだ。与党は「財源は税収増分で賄う」と説明し、追加国債発行を抑制する姿勢を示している。
給付金は支給開始の速さや手続きの簡便さを重視し、マイナポイント活用などで迅速給付を図る方針だが、財源の見通しや給付効果の持続性には不透明感が残る。選挙戦では給付規模や対象の公平性、財政健全性を巡る議論が激化し、有権者の理解を得られるかが与党の最大の挑戦となる。
自公両党の給付再提案は「選挙の目玉不足」を補う苦肉の一策といえる。過去の給付施策を踏まえつつ、給付と減税の効果を冷静に比較検証し、持続可能な経済政策を示すことが、最終的な支持獲得の鍵となるだろう。
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