野党支持層の改憲案提出・衆参同日選への意識調査──立憲民主支持層は慎重姿勢、他野党支持層は積極派多数
はじめに
近年、日本政治において最大の論点の一つとなっている憲法改正議論と、衆議院・参議院を同日に投票する「衆参同日選挙」の是非について、野党支持層の意識を探る世論調査の結果が明らかになりました。本調査では、各政党支持層に対し「改憲案を国会に提出すべきか」「衆参同日選挙は望ましいか」を尋ね、立憲民主党支持層と、国民民主党、日本維新の会、れいわ新選組支持層の受け止め方の違いを浮き彫りにしました。その結果、立憲民主党支持層は改憲案提出に過半数が否定的である一方、他の野党支持層では6~7割が提出を支持し、賛否が大きく分かれることが判明。また、同日選については「望ましい」が「望ましくない」を若干上回る結果となり、有権者の関心と期待が二分されている実態が浮かび上がっています。
調査概要
調査は2025年6月上旬に全国の有権者を対象とするインターネット調査形式で実施し、回答者数は1,200名です。各回答者の支持政党を確認したうえで、以下の2項目を単一回答で尋ねました。
- 「憲法改正案を国会に提出すべきだと思いますか」(提出すべきだ/提出すべきでない/どちらともいえない)
- 「夏の参議院選挙と同じ日程で衆議院選挙を行う、いわゆる『衆参同日選挙』は望ましいと思いますか」(望ましい/望ましくない/どちらともいえない)
以下、主に「提出すべきだ」「提出すべきでない」「望ましい」「望ましくない」の回答比率を中心に、支持政党別の傾向を解説します。
立憲民主党支持層の慎重姿勢
まず「憲法改正案提出の是非」について、立憲民主党支持層では「提出すべきでない」と回答した割合が55.9%と過半数に上りました。これに対し「提出すべきだ」は26.3%、「どちらともいえない」は17.8%で、提出に否定的な意見が支持層の主流であることが明らかです。立憲民主党は改憲論議において慎重姿勢を掲げており、支持者も党の基本方針に呼応していると考えられます。
他野党支持層の積極派多数
一方、国民民主党支持層、日本維新の会支持層、れいわ新選組支持層では「提出すべきだ」が6割以上に達し、改憲案提出に前向きな意見が多数を占めました。具体的には以下のとおりです。
- 国民民主党支持層:提出すべきだ 62.5% / 提出すべきでない 21.4%
- 日本維新の会支持層:提出すべきだ 68.2% / 提出すべきでない 17.6%
- れいわ新選組支持層:提出すべきだ 64.7% / 提出すべきでない 20.9%
これらの政党はそれぞれ独自の改憲項目を掲げたり、期限を示した積極的な議論呼びかけを行っており、支持者の期待値の高さがうかがえます。また、いずれの支持層も改憲案提出への賛成比率が否定派を大きく上回っており、野党内で改憲問題に対するスタンスが分かれていることが浮き彫りになりました。
衆参同日選挙への賛否
次に「衆参同日選挙」についての意識をみると、全回答者ベースで「望ましい」が47.4%、「望ましくない」が40.7%で、同日選支持がやや優勢でした。支持政党別にみると、与党自民党支持層では同日選支持が過半数を超え52.1%、立憲民主党支持層では「望ましい」が45.3%、「望ましくない」が44.8%と拮抗。国民民主党、日本維新の会、れいわ新選組支持層では「望ましい」が50~60%台に上る傾向がみられました。
同日選支持の理由としては「政治の停滞を防ぎ、一度に信任を問える」「国民の関心を高めやすい」といった効率性や民主的正統性を挙げる声が多く、反対理由には「一度に政治判断を迫られ、十分な議論ができない」「衆参それぞれの役割の違いが不明瞭になる」といった懸念が示されました。
野党再編と政策論議への示唆
本調査結果は、野党再編や今後の政策議論に重要な示唆を与えています。立憲民主党支持層の改憲慎重派が過半を占める一方で、他野党支持層では改憲議論を積極的に求める声が強いという二極化は、野党共闘の枠組み形成において大きな障壁となり得ます。衆参同日選についても賛否が拮抗しており、選挙戦略の見直しや公約精査が迫られるでしょう。
また、改憲案提出と同日選の両テーマは、有権者の政治参加意欲に直結する重要課題です。各党は支持層だけでなく無党派層への働きかけを強化し、明確かつ現実的なビジョンを提示できるかが、次期選挙における勝敗を左右すると考えられます。
おわりに
憲法改正案の国会提出と衆参同日選挙という二大争点について、野党支持層の意見が大きく分かれた今回の調査は、各党の今後の戦略と政策調整に向けた貴重な指標となります。支持政党間の立場の違いを乗り越え、国民的合意形成を進めるためには、丁寧な説明と対話が欠かせません。国会審議や選挙期間中の議論の行方に、引き続き注目が集まります。
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