ネットカジノ規制強化 改正法成立
2025/06/18 (水曜日)
オンラインカジノ誘引広告を禁止 「違法」周知徹底、アクセス抑制へ 改正対策法が成立
国内でまん延する違法なオンラインカジノの規制を強化する改正ギャンブル依存症対策基本法が18日、参院で可決、成立した。
2025年6月18日、参議院本会議で改正ギャンブル依存症対策基本法が可決・成立し、国内でまん延する違法オンラインカジノへの規制が大幅に強化されました。本改正法では、オンラインカジノサイトへの誘導を目的とした広告や情報発信を全面的に禁止するとともに、政府・地方自治体による「違法」周知徹底や、アクセス抑制を図る仕組みが盛り込まれています。国内におけるギャンブル依存症対策の現状と課題を踏まえ、新たに導入される規制の背景・内容・今後の展開を詳しく解説します。
スマートフォンやパソコンで手軽にプレイできるオンラインカジノは、許可を受けず国内で運営される事業者が多数存在し、若年層を中心に依存症被害が深刻化しています。2024年のギャンブル等依存症相談件数は前年比10%超の増加となり、その約3割がオンラインカジノ関連とされています。これらは国内法では「賭博開帳図利罪」に該当し得るにもかかわらず、広告規制の抜け穴を突いて利用者を誘引してきました。
今回成立した改正法の主なポイントは次のとおりです(時事通信社報道):
公布後3ヶ月をめどに施行され、違法広告の速やかな抑制と依存症対策の一環として運営されます。
禁止される行為には以下のものが含まれます:
これらを行った記事・動画・バナーは「違法情報」とみなされ、事業者側に削除や表示停止が要請されます。
罰則はないものの、改正法は“違法”を明記することでプロバイダーやSNS事業者に削除要請を行う法的根拠を整備しました。警察庁委託のインターネット・ホットラインセンターが24時間体制で監視・受付を行い、違法広告として判定された場合、各社へ速やかな対応を求めます。また、主要ISP(プロバイダー)にはURLブロッキング技術を活用したアクセス遮断を促し、利用者の接続を物理的に抑制します。
欧州各国や米国一部州では、オンラインギャンブル広告自体を全面禁止したり、プレイ中の利用者に対する強制停止機能を義務化したりする等、より厳格な規制が導入されています。英国はオンラインギャンブル事業者のライセンス要件としてSNS広告の禁止を明文化し、違反には数百万ポンドの罰金を科しています。日本の改正法は罰則を伴わない点で緩やかですが、事業者の自主規制と併せて即時性の高い対応が期待されています。
施行後は違法広告の大幅削減が見込まれる一方、下記の課題が残ります:
政府は施行までにガイドラインを公表し、事業者説明会や自治体職員研修を実施。継続的なモニタリングと評価を通じて、法の実効性を高める方針です。
改正ギャンブル依存症対策基本法は、国内に氾濫する違法オンラインカジノ広告を抑制し、依存症リスクの顕在化を防ぐための重要な一歩です。罰則を伴わない自主削除モデルを採用したことで、事業者の協力が不可欠となります。依存症対策と同時に、情報環境の健全化を図るには、行政・事業者・市民が一体となった啓発・監視・相談体制の強化が求められます。
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