「軍事用の通信指令部として利用されていた」、イスラエルがイラン国営テレビ本部攻撃
2025/06/17 (火曜日)
イラン国営テレビは生放送中に攻撃を受け、司会者が避難する様子が放映された。イスラエル軍は事前に攻撃を強化すると警告し、周辺住民に退避を通告していた。
イラン大統領府によると、ペゼシュキアン大統領はトルコのエルドアン大統領と電話会談し、交戦を激化させる意図はないとする一方、いかなる攻撃にも「同じレベルの対応を取る」と語った。
イスラエル軍は13日未明からイラン各地の核関連施設や軍事施設を空爆し、
2025年6月16日朝(現地時間13日未明)、イスラエル軍はイラン全土の複数の核関連施設や軍事施設を空爆するとともに、テヘランの国営テレビ放送局「IRIB」のスタジオを直撃しました。生放送中に爆発音と衝撃でニュースキャスターが慌てて避難する様子がそのまま放映され、民間メディアが攻撃を受ける前例のない事態となりました。
イスラエル軍は攻撃開始前に、先にSNSや電話を通じて周辺住民に「24時間以内に緊急退避を行え」と警告し、攻撃を強化する意図を公言していました。これによりテヘラン市民ら数十万人が一時的に避難を余儀なくされました。この種の事前通告は「民間人被害を最小限に抑える」とされますが、同時に国営メディアを標的とした直接攻撃は国際法上の議論を呼んでいます:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
攻撃は13日未明、イラン北部のナタンズ核燃料濃縮施設、イスファハンのウラン転換施設、フォルドウ地下施設を含む100以上の地点を対象としました。国連のIAEA(国際原子力機関)関係者は、ナタンズの遠心分離器約1万5千台が破壊された可能性を指摘しています。また、イスラエル軍は革命防衛隊(IRGC)の高官や核開発関連の科学者数名を狙撃したとも伝えられ、指導部に大打撃を与えたとの報道があります:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
イラン大統領府によると、ペゼシュキアン大統領はトルコのエルドアン大統領と電話会談し、「我々は挑発を望まないが、いかなる攻撃にも同等の対応を取る」と表明しました。国営IRIBは「戦争犯罪」として国連安保理への提訴を示唆し、即時の国際的非難を求めています:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
IRIBのメインニュース番組で司会者が政府声明を読み上げていた最中、建物に爆撃が直撃。カメラにはガラスの飛散とともに煙が立ち込める様子、司会者が避難指示の声に慌てて席を離れる様子が克明に映し出されました。メディア施設への攻撃は報道の自由と市民保護の観点から「戦争犯罪」の可能性が指摘され、国際人権団体が強く非難しています:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
イラン・イスラエル間の緊張は1979年のイスラム革命以来続いており、イランの核開発計画は2000年代半ばから国際的非難の的となってきました。2015年のJCPOA(イラン核合意)により一時的に緩和されたものの、トランプ米政権の離脱で再び制裁が強化され、両国の代理戦争的衝突が頻発しています。今回の攻撃は、イラン・イスラエル衝突の新たなエスカレーションと位置づけられます。
G7ではサミット会合後に緊急会合を開催し、声明文の文言調整が難航中です。EUは「暴力の一層の拡大を懸念する」と慎重姿勢を示し、英国とドイツは両者に自制を求めています。米国は「双方に外交的解決を促す」としつつ、地域への追加的軍事展開を示唆しました。ロシアや中国も「地域の安定を損なう行為」として批判的です:contentReference[oaicite:4]{index=4}。
攻撃後、イランは弾道ミサイルとドローンによる報復を数十件実施し、イスラエル国内でも死傷者が発生しました。紛争が長期化すればホルムズ海峡の安全保障リスクが高まり、原油価格の急騰や世界経済への波及が避けられません。また、紛争地域における通信遮断や人道危機が深刻化し、国連機関の緊急支援要請が予想されます。
今回のイスラエルによるメディア施設と核関連施設への攻撃は、報道の自由と国際法の枠組みを問い直す重大局面です。イランの「同等対応」宣言はさらなる連鎖的衝突を示唆しており、地域と世界を巻き込む事態に発展する恐れがあります。国際社会は迅速な外交介入と停戦合意に向けた協調行動が求められています。
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