備蓄米ブーム? 米価格下落するか

備蓄米ブーム? 米価格下落するか

2025/06/07 (土曜日)

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まさかの「備蓄米ブーム」到来…… 米の価格は下落するのか? 各社の「仕入れ量」「取り組み」総まとめ


政府と小売店業者間の随意契約に基づく備蓄米の供給が始まった。当初、備蓄米は入札方式で放出したが、高騰に歯止めがかからず、随意契約に切り替えた。大手小売チェーンが仕入れ、既に店頭に並んでいる。

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はじめに

2025年5月末から政府と大手小売店の随意契約方式による備蓄米の供給が始まり、各スーパーやコンビニでは「政府備蓄米」を用いた商品が店頭に並んでいます。米価高騰への対策として注目されるこの取り組みは、かつての入札方式による備蓄米放出とは異なる新たな方法です。本記事では、備蓄米制度の成り立ち、入札方式から随意契約方式への転換経緯、小売各社の取り組みと価格設定、流通構造の課題、他国との比較、そして今後の展望について詳しく解説します。

日本の備蓄米制度の成立と歴史的背景

日本では1993年の凶作を契機に、国が主食用コメの安定供給を図るために備蓄制度を強化しました。1995年から正式に政府備蓄米が始まり、以降、異常気象や国際的な食糧事情に対する安全弁として年間約10万トンから20万トンを備蓄しています。これまでも、2008年のコメ価格高騰や2011年の東日本大震災後には備蓄米が放出され、市場の急激な変動に歯止めをかける役割を果たしてきました。

入札方式による放出とその限界

2025年3月以降、政府は入札方式で計31万トンの備蓄米を競争入札にかけましたが、大手小売店や業務用卸売業者など限られた一部に流通するにとどまり、店頭価格への影響は限定的でした。特に3月上旬に落札された21万トンのうち、小売へ回ったのは僅か13%の約2.7万トンにとどまり、市場価格は依然として60kgあたり4000円台の水準で推移しました。需要の約700万トンに対して供給量が少なく、「焼け石に水」の状況となりました。

随意契約方式への転換経緯

こうした状況を踏まえ、政府は5月26日から小売業者との随意契約による備蓄米供給を開始しました。随意契約方式では、入札の手間や時間を省き、迅速かつ安定的な供給が可能となる一方で、契約条件や数量が一部事業者に偏る懸念も指摘されています。政府は「必要に応じて追加契約を行う」としており、制度運用の柔軟性が高まったと言えます。

小売各社の取り組み状況と価格設定

  • イオン:2万トンを契約、5kgあたり2,138円で6月1日から販売。初日の販売袋数は6,200袋、開店前に850人が行列。
  • イトーヨーカドー:5,000トンを契約、5kgあたり2,160円で5月31日から販売。店頭500袋・ネット3,500袋とも数分で完売。
  • PPIH(ドン・キホーテ):1万5,000トンを契約、5kgあたり2,139円で6月1日からMEGAドン・キホーテで先行販売。
  • コンビニ:市場調達米をおにぎりとして再加工し、随意契約米ではないものの低価格訴求を実施。

いずれも通常相場の約半値で提供し、「利益は求めず集客や社会貢献を優先する」との共通認識があります。

消費者への影響と価格動向

米価格は2024年5月頃から緩やかに上昇し、2024年後半には60kgあたり2,500円台、9月には3,000円を突破。2025年春には4,000円台後半へと高騰しました。随意契約米の登場により、小売店での5kgあたり2,000円前後の低価格帯が新たに生まれ、他製品への価格転嫁圧力が弱まる可能性があります。ただし、備蓄米の供給量は年間需要の一部に過ぎず、価格安定効果は一時的な“ショック療法”にとどまる見通しです。

流通構造の課題と今後の展望

日本のコメ流通はJA集荷(約4割)と農家直売(約6割)に大別され、市場原理が働く部分が増加しています。精米や検査、物流、小売段階でのマージンが最終価格を押し上げる一因となっており、備蓄米放出のみでは根本的なコスト削減にはつながりません。今後は、デジタル取引プラットフォームの導入、中間マージンの透明化、省力化技術による生産性向上など、構造改革が求められます。

他国の備蓄政策との比較

  • アメリカ:食糧安全保障の一環として国家備蓄を行うが、市場介入は限定的。農家支援は補助金や保険プログラムに依存。
  • 欧州連合(EU):共通農業政策(CAP)で備蓄枠や輸出助成を管理し、需給安定を図る。
  • タイ・ベトナム:輸出大国として大量備蓄と価格支持策を組み合わせ、国際価格変動への対応力を強化。

まとめ

政府の随意契約方式による備蓄米の小売供給は、緊急的な価格高騰への対策として一定の効果を発揮しています。しかし、米価問題の根本解決には、流通構造の見直しや生産コスト低減策、中長期的な需給管理体制の強化が不可欠です。今後は、デジタル化や政策連携を通じて、安定したコメ供給と適正価格実現に向けた総合的な取り組みが一層求められるでしょう。

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