備蓄米放出 倉庫収入月4億円減か(月4億6千万円)
2025/06/01 (日曜日)
【独自】備蓄米放出で倉庫収入消失 月4億6千万円、廃業検討も
政府備蓄米の大量放出によって、倉庫会社が受け取るはずの保管料が1カ月当たり計約4億6千万円失われる見通しであることが1日、分かった。廃業を検討する事業者もあるという。61万2千トンと異例の規模の放出で全国に300ある備蓄倉庫の運営体制にほころびが生じている。
政府は世界的な食料事情の悪化を受け、これまで長期保管されてきた備蓄米を一斉に市場へ放出する方針を打ち出しました。2025年5月時点で保管されていた備蓄米は約61万2千トンに及び、その異例の規模となった放出によって倉庫会社が得るはずだった保管料収入は、1カ月あたり約4億6千万円に相当すると見込まれています。多くの倉庫事業者がこれを受け、収益減少により廃業を検討せざるを得ない状況に追い込まれています。
政府が備蓄米の一斉放出を決定した背景には、国際的な食糧危機への対応や、国内米価の下支えを目的とした需要先の拡大、さらには備蓄米の長期保管による品質劣化リスクの回避があります。近年、アジア諸国を中心に天候不順や輸出規制などで食糧不足が深刻化しており、日本政府は「緊急時に備えた備蓄米を有効に活用し、世界の食糧安定に寄与する」という大義名分を掲げています。
これまで備蓄米は全国の約50か所の公的倉庫に分散保管されてきました。事業者は国から「保管料」という形で安定的な収入を得ており、その額は累計で年間50億円を超える規模でした。しかし、今回の放出でその保管量が急減し、月間4億6千万円の売上が一気に消失したと言われています。その影響で、従業員の解雇や倉庫運営の維持が困難となり、廃業を検討する事業者が相次いでいるのが実情です。
特に地方の中小倉庫業者は、備蓄米保管に特化した施設投資を行ってきたため、突然の需要消失に対応できる余裕がありません。農林水産省によると、多くの倉庫は大型の冷温倉庫ではなく、常温での長期保管に適した施設であり、他の商材への転用が難しいという事情があります。また、米以外の穀物保管や物流センターへの転換を試みるにも、人手不足や資金不足が重くのしかかります。
ある中小倉庫業者の社長は、「毎月数千万円の保管料が途絶えただけで、運転資金が底をつきかけている。新たな収益源を見つけるまで持ちこたえられるか不安だ」と語っています。別の事業者は、「これまで補助金や低利融資を受けて施設を整備したが、突然の需要消失で借金だけが残る可能性がある。廃業を検討せざるを得ない」と深刻な声を漏らしています。
政府は「放出米の代替事業者への貸倉庫提供や、出荷支援などを行う」と発表していますが、具体的な支援内容や時期については詳細が明らかになっていません。倉庫業界団体や地方自治体からは以下のような要望が挙がっています。
今回の備蓄米放出は国内外の食糧安定に寄与する一方で、倉庫業者をはじめとする農業・物流関連産業に深刻なダメージを与えています。日本政府は、貯蔵インフラの再編成を進めると同時に、中小事業者が新たな事業モデルを構築するための支援を急がなければなりません。具体的には、以下の取り組みが求められます。
私たち消費者や生活者も、食品ロス削減や地産地消の推進などに日々取り組むことで、広く食料循環をサポートする意識が求められます。また、倉庫業者をはじめとする地域の産業が危機に瀕している今、地方自治体や国は一丸となって支援の手を差し伸べる必要があります。
「備蓄米放出で倉庫収入消失 月4億6千万円、廃業検討も」は、全国の倉庫事業者にとって死活問題となる一大事です。政府による適切かつ迅速な支援策の実行、業界団体や地方自治体の連携、そして消費者の理解と協力があって初めて、倉庫業者の廃業を食い止め、地域経済の安定へつなげることができます。今後は、倉庫インフラの多角化や備蓄米の新たな利活用など、長期的・構造的な視点での改革が不可欠と言えるでしょう。
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