「安くない」コメダ 愛される理由
2025/06/10 (火曜日)
「食事・コーヒーで1500円超え」だが客足は途切れない…「決して安くない」コメダ、それでも愛される理由
「食事・コーヒーで1500円超え」と聞くと躊躇しそうですが、コメダ珈琲店(以下コメダ)は常に客足が途切れません。全国1000店舗以上を構え、2025年2月期には営業利益が過去最高を記録するなど好調を維持しています。高原価率にもかかわらず高収益を生み出す背景には、独自のビジネスモデルと地域密着戦略、そして“くつろぎ”を提供する店舗づくりがあり、「決して安くない」それでも愛される理由を探ります :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
コメダは1968年、名古屋市西区の米屋から派生した喫茶店として加藤太郎氏が創業。1977年にシロノワールを発売し、1993年からフランチャイズ展開を本格化しました。2000年代には関東、関西、北陸、東京23区へと出店エリアを拡大し、今や約1200店舗を誇るチェーンに成長。店舗数の増加とともに地域ごとのメニューやサービスを細やかに調整し、全国的な認知度とロイヤルティを獲得しています :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
コメダHDの販売・管理費率は約14%と、スターバックス(約62%)やドトール(約42%)を大きく下回ります。これは、本部が食材を卸売りし、加盟店収益を本部卸売上に直結させる強い卸売モデルを採用しているためです。一方で客単価は1500円を超える日も珍しくなく、コスト管理と利益最大化を両立しています :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
コメダの各店は、赤いオーニングとレンガ調の外壁、ゆったりしたソファ席を備えた郊外型の一軒家スタイルが特徴。照明やBGMを抑え、書棚や観葉植物を配した内装は「第三の場所」としての居心地を追求。長時間滞在を促すレイアウトは、客単価向上にも寄与しています :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
コメダのトレードマーク、温かいデニッシュに冷たいソフトクリームを載せた「シロノワール」(1977年発売)は、SNS映えするビジュアルと手頃な価格(590円~)で定番化。トースト+ゆで卵+サラダのモーニングサービス(ドリンク注文で無料)など、食事メニューも充実させ、「コーヒーチェーン」より「喫茶店」としての差別化を図っています :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
各店舗がオーナー主体で地域イベントに参加し、地元産品を活用した限定メニューを開発。地域住民とのつながりを重視し、朝から晩まで幅広い層に利用される“まちの社交場”としての役割を担っています。また、ポイント制アプリやメルマガで常連客向け特典を提供し、リピーターを定着させています :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
新型コロナ禍では「テイクアウトOK」メニューを拡充し、ドライブスルー型店舗を試験導入。従来のイートイン需要が急減する一方で、テイクアウト需要を取り込むことで売上を維持。デジタルオーダーや非接触決済の導入も迅速で、過去最高益を更新しています :contentReference[oaicite:6]{index=6}。
スターバックスやドトールとの差別化ポイントは、モーニング無料サービス、フード充実度、くつろぎ空間に重きを置くブランディング。今後は地方創生と観光業との連携を強化し、郊外店舗のエクスペリエンス向上、新規業態「おかげ庵」の拡大、海外展開(台湾・アジア進出計画)を含めた多角化戦略を推進します :contentReference[oaicite:7]{index=7}。
「決して安くない」食事・コーヒー1500円超えのコメダが愛され続けるのは、創業から受け継ぐ「名古屋のくつろぎ文化」、高利益率を支える卸売モデル、老若男女をつなぐ地域密着型サービス、そしてSNS時代にマッチするビジュアル&味覚のバランスがあるからです。今後もコメダは“くつろぎ”を基軸に、新たな顧客体験を創出し続けるでしょう。
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