中2を助けようと 2人とも溺れ重体
2025/06/11 (水曜日)
「子ども2人が助けを求めている 男性も川に入ろうとしている」溺れた中学2年生の女子生徒2人を男性が助けようとしたか 女子生徒1人と男性が心肺停止【岡山】
2025年6月11日午後4時15分ごろ、岡山市北区中井町を流れる旭川で「子ども2人が助けを求めている」「男性が川に入ろうとしている」と通行人女性から消防に通報がありました。現場に駆け付けた警察・消防によると、川で遊んでいた中学2年生の女子生徒2人(共に13歳)が足を取られて溺れ、自力で岸に上がれない状態でした。通報を受けてすぐに川に入った69歳男性も流され、女子生徒1人と男性は心肺停止の重体となり、もう1人の女子生徒は軽傷で救助されました(出典:RSK山陽放送)
生徒2人は浅瀬に入って遊んでいたところ、川底の石や流れの急変によりバランスを崩し、深みへ流されたとみられます。通報者は現場付近を歩いていた女性で、悲鳴と「助けて」という声を聞き、消防へ通報。到着した救助隊は救命艇を出し、長靴装備の隊員が川岸から順次心肺停止の2人を引き上げ、医療機関へ緊急搬送しました(出典:RSK山陽放送)
内閣府の「水難事故統計」によると、6~8月の夏季は年間の水難事故の約60%を占め、小中高生の水辺遊びによる事故が年々増加しています。特に梅雨明け後の炎天下では河川の流量変化が激しく、浅瀬と油断しがちなポイントでも突然深くなる「底釣り」現象が危険を助長します。過去10年で中学生の溺水事故は約150件報告され、うち約15件が死亡事故となっています。
旭川は板状の花崗岩が露出する河床と、雨量に応じて急変する流れが特徴です。近年はダム放流や都市開発による流水変動も影響し、浅瀬と深みの境界が不明瞭な箇所が増加。現場付近は堤防直下で急斜面が続くため、救助活動の難易度が高まります。今回の事故では夜間の高湿度と前日までの降雨も相まって水温低下と流速増加が見られました。
通報から救助隊到着まで約5分という迅速な対応が施されました。水難事故において“初動5分”は救命率を大きく左右する指標であり、通行人や地域住民による目撃通報の重要性が再認識される結果となりました。地元消防本部は、今後も「通報ポイント周知」と「地域住民の水辺安全マナー教育」を強化するとしています。
2018年には同じ岡山市内で小学生2人が溺れ、通報遅れにより死亡した事例があり、現地では「救助体制の再検証」が進められました。また、2022年には香川県高松市で女子高生が遊泳中に溺れ、橋下からの救助が間に合わず重傷となったケースもあります。これらはすべて「遊び慣れた河川での油断」「救助者の負傷リスク」「周知不足」が共通要因でした。
岡山市は、今回の事故を受けて川沿いの歩行者用防災無線の整備を急ぎ、消防・警察・自治体が一体で運用する「水辺安全パトロール」を実験的に導入すると発表。地域ボランティア団体とも連携し、週末の巡回とAED設置場所の増強、浮遊物監視システムの試験運用を開始します。
中学生2人と助けに入った男性の溺水事故は、夏季の河川遊びリスクを改めて浮かび上がらせました。迅速な通報・救助体制は功を奏したものの、根本的な再発防止には「教育」「インフラ整備」「地域連携」の三位一体が不可欠です。今後、行政・学校・家庭・地域が一体となった包括的な水辺安全対策の定着が求められます。
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