職務質問をした警察官を蹴る、容疑で自称タイ国籍の男逮捕 警官発砲し車逃走、千葉
2025/06/14 (土曜日)
逮捕容疑は13日午後4時5分ごろ、千葉県旭市鏑木で、車のドアを開けて同署地域課の男性巡査部長(36)を突き飛ばすなどしたとしている。
県警によると、逮捕手続き中に別の車が巡査部長に向かって発進したため、3発発砲。車はそのまま逃走し、同日午後7時ごろに市内で発見された。午後8時過ぎ、右肩を負傷した自称タイ国籍の男性が山武署に出頭。命に別条はなく、逃走した人物とみて調べている。
2025年6月13日午後4時5分ごろ、千葉県旭市鏑木の市道で、警察官が職務質問中に突然車が突進してきたため、拳銃を3発発砲する事案が発生しました。逮捕された30代の自称タイ国籍の男は、その直後に逃走した車両から離れ、午後8時過ぎに自ら警察署に出頭。「警察官に撃たれた」と話しながら右肩に負傷しており、警察は発砲の適否を含めて詳しい経緯を調べています。
当日は、旭署地域課の男性巡査部長と巡査が歩道上に縦列駐車していた軽乗用車3台を不審に思い職務質問を開始。うち一台には乗員がいなかったため捜査員が別れ、残る二台に乗っていた被疑者ともう一人の外国人に対して質問を行いました。被疑者(タイ国籍)は逃走を図り、巡査がかみつかれるなど暴れたため公務執行妨害で現行犯逮捕。その最中、三台目の車が警察官めがけて急発進したため、巡査部長が威嚇射撃ではなく実弾射撃に踏み切り、3発を発砲したといいます。
日本の警察官が拳銃を使用できるのは「警察官職務執行法」第7条および「警察官等拳銃使用及び取扱い規範」に基づく場合に限られます。具体的には、犯人の逮捕や逃走防止、自己または他人の防護、威嚇射撃などが定められており、「威嚇射撃は必要最小限に」「人命や権利を侵害しない」との厳格な要件が課されています 。
2021年8月、千葉県匝瑳市で無職の74歳男性が隣家の乾燥機騒音を理由に110番通報。その後、男性が刃渡り約30cmのノコギリを振りかざして襲いかかり、警察官が「撃つぞ」と警告の上、威嚇射撃後に実弾1発を命中させた事案では、銃弾は胸部を貫通し男性が死亡しています。警察は「必要最小限度の適正発砲」と判断しました 。
2015年9月、松戸市で大型犬(紀州犬)が複数の通行人を襲いかかったため、駆けつけた署員3人が威嚇射撃と合わせ計13発を発砲し、犬を射殺しました。この事案でも「緊急避難かつ必要最小限度」と認められ、負傷者は犬にかまれた3人のみでした。
今回のように職務質問中の急発進車両に対する発砲は極めてまれであり、警察官の判断と訓練が問われます。昨今、刃物や暴走車両を相手にした発砲事案が増加傾向にある一方、適否を巡る議論も活発化しています。令和に入ってからだけでも国内で警察官の実弾発砲は17件以上に上り、〈公務執行妨害事件の増加〉や〈職務質問時の危険対応〉がその背景にあると分析されています。
警察署は今後、発砲事案の適否検証を経てガイドラインの周知徹底や訓練強化を図る必要があります。同時に、地域住民への説明会や意見交換を通じて、職務質問やパトロール時の危険認知を共有し、安全確保と信頼醸成を両立させることが求められます。また、車両の急発進など公務執行妨害リスクへの対策として、体制の多様化(無人航空機の監視活用など)も検討されるでしょう。
千葉県旭市での拳銃発砲事案は、警察官による実弾使用の極限状況を示すものでした。公務執行妨害への抑止力として発砲が有効である一方、適正要件の遵守と事後検証が不可欠です。日本における警察官の拳銃使用は厳格に規制されており、今回の事案を通じてさらなる訓練強化、地域理解の促進が急務と言えるでしょう。
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