拘束され尿垂れ流し 都に賠償命令

拘束され尿垂れ流し 都に賠償命令

2025/06/11 (水曜日)

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「拷問だ」パンツ一丁で身体拘束、尿垂れ流し、トイペも渡されず…警視庁新宿署の「違法対応」に賠償命令 東京地裁

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事件概要:東京地裁が違法拘束を認定

2025年6月11日、東京地方裁判所は、警視庁新宿署留置場で20代男性が下着一枚の状態で長時間拘束され、トイレにも行かせず尿を垂れ流しにされた「拷問ともいえる違法対応」について、東京都に損害賠償を命じる判決を言い渡しました。男性側代理人によれば、男性は165万円の賠償を求めましたが、裁判所は33万円の支払いを認めました(弁護士ドットコムニュース) :contentReference[oaicite:0]{index=0}。

留置場での具体的な対応内容

  • 被拘束者は下着一枚で拘束用椅子に固定され、身体を動かせない状態が数時間に及んだ。
  • トイレ使用の申し出が認められず、衣服がないままトイレ前まで移動させられたものの、その場で排尿を強要。
  • 紙も提供されず、尿を流し続けた後に再び拘束椅子に戻され、床が汚れる状態を放置。
  • 身体拘束と同時に声を上げたり暴れたりすると、さらに強い締めつけや暴言を受けた。

少年から男女を問わず長年問題化する警察留置場の取り調べ・拘束

警察留置場での身柄拘束と取り調べ過程における人権侵害は、過去にも「名張毒ぶどう酒事件」や「布川事件」の冤罪判決など、多くの裁判例で問題視されてきました。特に「暴行取調べ」の禁止と「任意の取調べ」の原則が求められながら、長時間・過剰な身体拘束が行われるケースは後を絶ちません。この事件も、安全保障上や緊急性とは無関係に行われた拘束方法の過酷さが違法と判断されました。

判決文が指摘した違法性

裁判所は判決文で次の点を違法と認定しました:

  1. 身体拘束の濫用:捜査目的を超えた長時間の拘束・固定は必要最小限を逸脱。
  2. トイレ拒否:生理的欲求に応える権利を著しく侵害。
  3. 準拠法違反:留置場運用基準(警察設置法施行規則および都留置場条例)に反し、適正手続きが欠如。

被害者の声と後遺症

被害者の男性は「拷問だ」「もう二度と警察署には行きたくない」と語り、身体的・精神的な後遺症として不眠やPTSD症状に苦しんでいます。精神科医の見立てによれば、拘束中の屈辱感と生理的苦痛がトラウマとなり、再発行動を伴う心的外傷後ストレス障害のリスクが高いとのことです。

警察の取調べ改革と可視化

この判決を受け、警察庁は取調べ可視化の範囲拡大を2026年度中に完了させる方針を再確認しました。現在は主要取調室での録音のみが義務付けられていますが、全国の留置場での動画録画と、録画データの保存・管理制度を強化し、調書作成時に必ず参照させることが検討されています。

法制度上の検討課題

判決後、法務省は留置場における身体拘束の上限時間の明文化と、トイレ使用権を保証する明確な規定整備を提案しています。また、警察官の罰則強化として、違法拘束が認められた場合の懲戒処分基準を見直し、再発防止策を包括的に法制度化する検討が進んでいます。

海外の人権基準と比較

欧米諸国では、米国連邦法下での身体拘束には「48時間以内に裁判所へ移送」の厳格なルールがあり、イギリスでも「クッズ法」に基づく拘留期間と条件が厳密に規定されています。日本では裁判官による勾留状請求は必要ですが、留置場内の取り調べ拘束は規則運用に任されているため、法的保護水準の向上が急務となっています。

まとめと今後の展望

東京地裁の賠償命令は、警察留置場における恣意的な身体拘束が違法であることを司法が明確に示した重要判例です。捜査現場での人権意識向上と手続きの透明化、そして法制度改正による取調べや拘束手続きの厳格化が、再発防止の鍵となります。東京都と警察庁は、この判決を契機に被害者救済と信頼回復に取り組む必要があるでしょう。

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