線路にごみ箱を投げたネパール人男性を不起訴 東京地検、詳しい理由明かさず
2025/06/19 (木曜日)
東京地検は19日、線路にごみ箱を投げ電車を遅延させたとして往来危険と威力業務妨害の疑いで警視庁に逮捕されたネパール国籍の男性(25)を、不起訴とした。詳しい理由は明らかにしていない。…
2025年6月19日、東京地方検察庁は、昨年12月に東京都中野区のJR線路上にごみ箱を投げ入れ、総武線や山手線を含む複数の電車を最大30分以上遅延させるなどの被害を及ぼしたとして警視庁に逮捕されていたネパール国籍の男性(25)について、不起訴処分としました。検察庁は具体的な不起訴理由を明らかにしていないものの、事件を巡る社会的影響や被疑者の状況、証拠関係などを総合的に勘案した結果と見られます。
被疑者は2024年12月5日深夜、中野区内のJR中央・総武緩行線の線路脇で、駅構内のごみ箱を約8個、フェンス越しに線路内へ投げ入れました。この行為により列車は緊急停止や減速を余儀なくされ、乗客約5,000人が影響を受けました。警視庁は同年5月に防犯カメラ映像などから被疑者を特定し、往来危険および威力業務妨害の疑いで逮捕。捜査段階では容疑を一部否認し、「記憶がない」と供述していました。
線路への障害物投棄行為は、鉄道の安全運行を脅かす「往来危険罪」(刑法125条第1項)に該当し、有期懲役2年以上の厳罰が規定されています。また、列車運行を妨害した場合には「威力業務妨害罪」(刑法234条)も成立し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が課される可能性があります。逮捕後、検察官は被疑者の取調べを経て起訴・不起訴を判断しますが、今回は不起訴処分となり、裁判を行わないまま刑事手続きが終結しました。
不起訴処分には「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の三類型があり、検察官は証拠の十分性や犯罪の社会的影響、被疑者の反省状況、示談の有無、再犯のおそれなどを勘案して処分を決定します。日本の刑法犯における不起訴率は60%前後で推移しており、今回の事件では被害はあったものの人的被害や死亡事故などの深刻な結果がなかった点、被疑者が逮捕後に反省の態度を示した可能性、捜査コストと証拠関係の強さを比較した結果、起訴相当性が低いと判断されたことが考えられます。
線路に異物を投棄して運行を妨害する事件は過去にも複数発生しており、2020年には東京都内で金属製のバーを線路に投げ入れた行為が往来危険罪で起訴され、懲役2年(執行猶予3年)の判決が出されました。一方、障害物が短時間で除去され被害が限定的だった事例では、起訴猶予とされたケースもあります。具体的な被害の広がりや除去の状況、動機の有無といった事情が、処分の相違を生んでいます。
鉄道事業者は線路妨害時の緊急停止対応訓練や、監視カメラ設置、フェンス強化などで再発防止策を講じています。しかし、線路沿いの空間は無人区間も多く、投棄行為を完全に防ぐのは難しいのが現状です。乗客の安全確保と駅・線路敷地の防犯強化、地域住民による見守り活動の連携など、警察・自治体・事業者が共同で取り組む必要があります。
今回の不起訴を受け、被害にあった乗客や鉄道会社関係者からは「責任が曖昧になりかねない」との声も上がっています。不起訴処分が示すのは検察官の裁量ですが、線路を狙った犯罪への抑止力を保つためにも、民事責任の追及や行政処分の活用、地域ぐるみの安全教育を強化することが求められます。また、被疑者の更生支援や、同様の行為を未然に防ぐための社会参加プログラムの導入も検討課題です。
線路へのごみ箱投棄事件は、鉄道インフラの安全性と社会インフラの信頼性を揺るがす重大事案です。不起訴処分は検察の裁量権行使の一例に過ぎませんが、公共交通機関の安心・安全を守るためには、刑事処分だけでなく、防犯設備の充実や地域の協力体制、被疑者の更生支援を総合的に進める必要があります。幅広い視点からの再発防止策を講じ、鉄道を利用するすべての人が安心できる社会を構築していくことが急務です。
電車遅延で乗客5000人に
— 丘田 英徳 (@okada_2019) June 21, 2025
実害が出てるのに不起訴だと?
電車の遅延は
莫大な損害賠償発生するはず
ソレを払ったとも思えないのだが
不起訴の理由を公表すべきだ!
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線路にごみ箱を投げた
ネパール人男性を不起訴
東京地検、詳しい理由明かさず
不起訴になったのは… pic.twitter.com/PmlkV0rilm
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