学習態度を評定枠外に 文科省検討

学習態度を評定枠外に 文科省検討

2025/07/04 (金曜日)

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総合 学校ニュース

次期学習指導要領に向けた改定作業を行う中教審特別部会が4日開かれ、文部科学省は、教員が児童生徒の成績をつける際の仕組みを見直す方針を示した。現在、観点の一つとしている「主体的に学習に取り組む態度」を

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次期学習指導要領で「学習態度」を評定枠外に―文科省が評価見直し方針提示

2025年7月4日、中央教育審議会の教育課程企画特別部会が開かれ、文部科学省は教員が通知表の評定を行う際の仕組みを見直す方針を示した。現行では「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点を合成して評定を決定しているが、次期学習指導要領では「主体的に学習に取り組む態度」を評定には反映せず、あくまで教科横断的な「個人内評価」として記録する方向で調整するという。これにより、評定は(1)知識・技能、(2)思考・判断・表現の2観点に限定される見込みだ :contentReference[oaicite:0]{index=0}。

1.「主体的に学習に取り組む態度」評価の課題

現行の学習評価では「学びに向かう力、人間性等」の柱のうち、評定に馴染まない感性・思いやり等を除き、「主体的に学習に取り組む態度」を粘り強さや自己調整の観点で目標準拠評価してきた。しかし具体的基準があいまいで、保護者への説明が難しく、教師の負担が大きいとの声がある :contentReference[oaicite:1]{index=1}。

2.評価方法の具体的変更案

  • 評定欄には(1)知識・技能、(2)思考・判断・表現の2観点のみを反映
  • 「学習に取り組む態度」は指導要録の総合所見や個人成績欄での個人内評価として記録
  • 観点別評価(通知表の「〇」欄)には残し、学習過程で特に顕著な態度発露時に付記する
  • 記録する評価の回数・タイミングを精選し、授業改善に生かす余白を確保

3.背景にある評価の省力化と質向上の両立

文科省はPDFの検討資料で、「過度な目標準拠評価を省き、教師が授業改善や対話的な指導に注力できる時間を確保すべき」と指摘している。WBGT指標による熱中症対策同様、評価にも省力化の視点が求められているという :contentReference[oaicite:2]{index=2}。

4.歴史的経緯と他国の事例

日本の学習指導要領は1977年、90年、2002年の「ゆとり教育」期などに大幅改訂を重ね、20年改訂で「資質・能力の3柱」が導入された。しかし教科横断的な「学びに向かう力」の評価方法は確立が遅れ、現場混乱を招いてきた。他国ではイギリスの「持続的学習態度評価」(PISA調査基準)やシンガポールの「学習行動観察」など、定性的側面を個別記録と ポートフォリオ評価に分離する仕組みが先行している。

5.教育現場への影響と懸念

  • 評価対象が限定されることで「主体的態度」の育成が軽視されないかとの懸念
  • 通知表を簡略化できる一方、「個人内評価」の扱いや教員研修の見直しが必要
  • 保護者・地域への説明責任を果たすためのフォーマット整備も急務

まとめ

次期学習指導要領に向けた学習評価見直しは、評価の簡素化と授業改善への時間創出を両立させるねらいがある。知識・思考を中心とした評定欄の整理は、評価基準の客観性向上や教員の負担軽減につながる可能性が高い。一方で「学びに向かう力」を育む意義が軽んじられる懸念もあるため、個人内評価の充実や、保護者への説明フォーマット整備、教員研修の強化が求められる。今後は、具体的評価ガイドラインの策定と、国際的事例を踏まえたポートフォリオ評価の導入検討が、質の高い学びを保証する鍵となるだろう。

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