日米豪印が重要鉱物の供給網連携で一致、首脳会合へ「よい準備」 クアッド外相会合
2025/07/02 (水曜日)
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会合には岩屋毅外相、ルビオ米国務長官、オーストラリアのウォン外相、インドのジャイシャンカル外相が出席した。
4カ国外相は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力強化を確認。中国が台湾やフィリピンに対する軍事圧力を強めていることを念頭に、「力や威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対」した。
日米豪印で取り組む優先事項に「海洋・越境安全保障」「経済的繁栄・経済安全保障」「重要・新興技
2025年7月1日(現地時間)、ワシントンD.C.で日米豪印4カ国外相会合が開催され、岩屋毅外相、マルコ・ルビオ米国務長官、パン・ウォンオーストラリア外相、S・ジャイシャンカルインド外相が出席した。会合では「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた協力強化を再確認し、中国の台湾海峡や南・東シナ海での一方的な現状変更への強い反対が共同声明に明記された。
「クアッド」(Quadrilateral Security Dialogue)は2007年に安倍晋三首相の呼びかけで日本、米国、オーストラリア、インドが協議を開始したが、当時は低調に終始。2017年、トランプ政権下で再活性化し、FOIP構想を共有する戦略的枠組みへと発展した。経済、安全保障、人道支援など多岐にわたる分野で年次首脳会合や外相会合を定例化し、官民連携の協議プラットフォームを整備してきた。
FOIPは「法の支配」「航行の自由」「経済の開放性」を柱に、地域秩序の安定化をめざすビジョンだ。日本は2016年に最初に提唱し、2019年クアッド首脳宣言で採用。2020年代にはワクチン配布、重要鉱物サプライチェーン強化、海上保安協力など実践的協力が加速している。
近年、中国は台湾周辺で軍用機・艦艇の派遣や空母展開を活発化させ、フィリピン・ベトナムとの領有権紛争海域にも海警や漁業監視船を常駐させている。これに対しクアッドは、共同声明で「力や威圧による一方的現状変更の試みに強く反対」と断言。日本の岩屋外相は「東・南シナ海情勢に深刻な懸念」を表明し、ルビオ国務長官も「海洋ルートの安全確保は世界的利害に直結」と強調した。
2025年1月の東京外相会合では「気候変動」や「北朝鮮核問題」の優先度が高かったが、今回のワシントン会合では対中抑止と海洋安全保障が議論の主軸に。次回と見られるクアッド首脳会合では、インド太平洋経済枠組み(IPEF)との連携強化やロシア・ウクライナ情勢への対応も議題に上る可能性が高い。
欧州連合(EU)や英国もFOIPに賛同し、2025年には「欧州インド太平洋戦略」を発表。クアッドとEUの信頼性パートナー連携が深化すれば、中国を含む域外諸国の安全保障や経済秩序に大きな影響を与える。また、ASEAN各国との共同演習やワークショップ開催により、地域全体の包摂的安全保障秩序の構築が加速すると期待される。
日米豪印外相会合は、クアッドが誕生から20年弱で「声明文上の協調」から「現場での共同実行」へと進化した証左だ。中国の軍事的圧力強化に対して、4カ国が海洋安全保障、経済安全保障、先端技術など多層的協力を打ち出したことで、自由・法の支配を基軸とするインド太平洋秩序の実現可能性が高まった。今後は、合意事項の実動化とASEAN諸国、EUなど他地域パートナーとの連携強化が、クアッドの信頼性をさらに高めるカギとなるだろう。
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