中国空母「遼寧」「山東」から戦闘機やヘリ520回発着 防衛省発表、太平洋で同時活動

中国空母「遼寧」「山東」から戦闘機やヘリ520回発着 防衛省発表、太平洋で同時活動

2025/06/18 (水曜日)

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国内 中国ニュース

防衛省によると、遼寧は8日以降、硫黄島(東京都)の南東約650キロの海域から南西に進みながら発着艦を計約290回実施した。山東は9日以降、沖ノ鳥島(東京都)周辺を時計回りに航行しながら計約230回発着艦した。

山東を巡っては、7~8日、艦載のJ15戦闘機による海上自衛隊のP3C哨戒機への接近が確認され、日本政府が抗議した。遼寧は一連の航行の中で、中国が制海権確立を目的に伊豆諸島や米グアムをつなぐ

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はじめに:中国海軍空母「遼寧」「山東」の太平洋同時活動が示す戦略的意図

2025年6月8日以降、中国海軍の空母「遼寧」(艦番号16)と初の国産空母「山東」(艦番号17)が、太平洋上で初めて同時に活動を展開し、連日200回以上の艦載機発着艦を実施していることが、防衛省統合幕僚監部の発表で明らかになりました。遼寧は硫黄島(東京都)の南東約650kmから南西に向けて航行しながら計約290回、山東は沖ノ鳥島(東京都)周辺を時計回りに巡航しながら計約230回の発着艦を確認されています。これらの動きは、中国が伊豆諸島・小笠原諸島・グアムを結ぶ「第二列島線」における制海権確立を目指す戦略の一環と見られ、我が国の安全保障環境に重大な示唆を与えています。

中国空母の発展と第二列島線戦略

遼寧は旧ソ連時代のクズネツォフ級空母を改修したもので、2012年に就役して以来、艦載機による訓練や演習を重ねつつ、東シナ海や南シナ海でプレゼンスを高めてきました。2022年に就役した山東は、中国初の自国建造空母として設計から建造まですべて国内技術で完成。これにより中国は世界第三位の空母保有国となり、空母打撃群(CSG)の運用能力を飛躍的に増強しています。

こうした空母を用いた「第二列島線」戦略は、米国や日本を含む太平洋西辺陣営の海上交通路を封鎖・監視する狙いがあり、中国は空母やミサイル駆逐艦、支援艦艇を組み合わせた艦隊の運用を通じて、第一列島線(台湾海峡周辺)を越えて太平洋へ進出し、プレゼンスを誇示し始めています。

両空母の活動概要と発着艦回数

統合幕僚監部資料によれば、6月8日から16日までの「遼寧」の活動と発着艦回数は以下の通りです(硫黄島以東・沖ノ鳥島周辺海域で確認):contentReference[oaicite:0]{index=0}:

日付位置(目安)発着艦回数
6月8日硫黄島南東約650km約40回
6月9日硫黄島南約580km約90回
6月10日沖ノ鳥島南約670km0回
6月11日沖ノ鳥島南約990km約50回
6月14日沖ノ鳥島南東約610km約90回
6月15日沖ノ鳥島南約450km約10回
6月16日沖ノ鳥島南西約600km約10回
約290回

同期間中の「山東」は以下のとおりです:contentReference[oaicite:1]{index=1}:

日付位置(目安)発着艦回数
6月9日沖ノ鳥島北約430km約10回
6月10日沖ノ鳥島北約390km約50回
6月11日沖ノ鳥島東約360km約30回
6月12日沖ノ鳥島北東約260km約30回
6月13日沖ノ鳥島南約280km約30回
6月14日沖ノ鳥島南西約470km約30回
6月15日沖大東島南約890km約20回
6月16日宮古島南東約780km約30回
約230回

海自哨戒機への接近事案と政府の反応

とりわけ山東艦載のJ-15戦闘機が6月7~8日の訓練中に海上自衛隊P-3C哨戒機へ異常接近した事案は、日本政府が外交ルートを通じて強く抗議。公海上であっても意図的なプレッシャー行動として問題視され、中国側は「国際法および国際慣例に完全に合致している」と応じたものの、防衛省は引き続き緊密な警戒監視を継続すると表明しました:contentReference[oaicite:2]{index=2}。

日本の防衛・監視体制と今後の対応

防衛省は「むらさめ」「いかづち」「はぐろ」など護衛艦を速やかに派遣し、情報収集や警戒監視を実施中です。また、哨戒機、P-1哨戒機やP-3Cの飛行回数を増やし、艦隊行動の動きを常時モニタリング。海上保安庁との連携による海況情報共有や、沿岸自衛隊司令部との調整を強化しています。

加えて、航空自衛隊の早期警戒管制機(E-767/AWACS)や空中給油機(KC-767)を活用し、長距離レーダー監視網の拡充を図ることで、中国空母打撃群の行動開始から作戦終結までを一貫監視する体制づくりが進められています。

地政学的リスクと地域安全保障への影響

伊豆諸島・小笠原諸島を結ぶ「第一列島線」と、グアムを含む「第二列島線」の間に位置する本海域は、米日同盟の海上交通路の生命線であり、中国のプレゼンス拡大は、日米の共同作戦遂行能力や補給線の安定性に緊張をもたらします。特に、台湾有事や南シナ海情勢の緊迫化に伴い、同海域での中国軍の定常的航行は、「戦略的帰趨点」として注目されるでしょう。

過去の事例との比較と展望

中国空母の遠洋展開は過去にも日本南西諸島海域で断続的に確認されていますが、単一空母による演習や訓練が中心でした。今回のように二隻同時に太平洋へ進出し、艦載機を多数発着艦させる大規模展開は初めてであり、戦力投射能力の格段の向上を示唆します。今後は、空母打撃群と支援艦艇を組織的に運用する訓練を重ねる可能性が高く、我が国は警備監視だけでなく、抑止力を示すための共同訓練や情報発信にも力を入れる必要があります。

結論:中国海軍の戦略的進出に備える複層的防衛体制の構築を

「遼寧」「山東」の同時活動と多数の発着艦実績は、中国の制海権確立と戦略的プレゼンス強化を象徴しています。我が国は、海上自衛隊・航空自衛隊・海上保安庁の三機関連携による常時監視体制を維持するとともに、日米豪印(Quad)や東南アジア諸国との海洋安全保障協力を深化させることで、太平洋西部の安定を支える「複層的防衛体制」の早期構築が求められます。

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