尖閣・竹島領有権問題「失われた20年」 非専門家の国会議員による欠けた戦略的視点

尖閣・竹島領有権問題「失われた20年」 非専門家の国会議員による欠けた戦略的視点

2025/06/21 (土曜日)

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国際ニュース

日本では1990年代初頭にバブルが崩壊して以降、経済の停滞が続いた20年を「失われた20年」と呼んでいる。それは日本の問題解決能力が劣っている証しでもある。安全保障の専門家と目されていた石破茂氏が首相に就任しても、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での中国海警局艦艇による挑発行為は続き、4月末現在で連続163日を記録した。中国の艦艇が尖閣諸島付近に出没したのは2012年9月からで、領海侵犯も常態化し

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はじめに

1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本経済は長期の停滞期に入り、この20年を「失われた20年」と総称されるほど成長が低迷しました。銀行不良債権問題の解消や景気刺激策を重ねても、需要回復は限定的で、デフレ脱却は果たせず、産業構造転換の遅れや人口減少も相まって、経済活力の回復は思うように進みませんでした。こうした「失われた20年」は、日本の問題解決能力、政策立案と実行力に疑問符を投げかける出来事でもあります(出典:Yahoo!ニュース)。

1.失われた20年が刻んだ経済と社会の傷跡

バブル崩壊後、日本は1995年から2007年までの期間、名目GDPはほぼ横ばいか微増にとどまりました。1997年には山一證券の破綻、1998年には長銀・日債銀などの国有化と、不良債権処理が最重要課題となりましたが、行政・金融・企業の三位一体での構造改革は遅々として進まず、労働市場の硬直性や新規産業立ち上げの阻害要因を温存する結果となりました。労働生産性の伸び悩みや、中小企業の競争力低下、地方経済の疲弊は、経済政策だけでは解消困難な構造的課題を露呈しました。

2.安全保障分野における課題解決力の低下

経済のみならず安全保障の分野でも同様に、課題解決能力への懸念がくすぶります。歴代首相の任期が短く、政策の連続性が失われる中、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の海洋進出への対応は後手に回る場面が散見されました。防衛支出のGDP比は長らく2%の目標割れが続き、最新のデータでも目標達成はようやく2024年度にかろうじて達成するにとどまりました。議論を重ねつつも決断を先送りする政治体制のもろさが指摘されています。

3.石破茂首相の登場と尖閣諸島問題の現状

2025年に「安全保障の専門家」と目された石破茂氏が首相に就任し、「積極的平和主義」の名の下、憲法改正議論や防衛力強化を掲げました。しかしその就任後も、中国海警局の艦艇による尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域での挑発行為は続き、2025年4月末時点で連続163日間にわたり中国艦艇の確認が続きました。2012年9月の国有化以来、領海侵犯や接続水域での巡視が常態化し、毎年のように挑発の頻度・規模を拡大しています。海上保安庁は退去警告や小型無人機の導入で対抗を試みていますが、装備・人員不足に加え、国際法上の規定との境界が曖昧なため限界が見え隠れしています。

4.2012年以降の挑発エスカレーションの背景

尖閣諸島は1895年以降、無主地先占として日本に帰属が確定し、1970年代以降の資源可能性の報道を機に台湾・中国両政府が領有権を主張しました。2012年の国有化以後、中国は海警局に機関砲を搭載し、漁業監視の枠を超えた威圧的行動を常態化。領海外の接続水域への繰り返しの侵入は、国際法上の「通航権」と「主権権益」の狭間を突く戦術といわれ、法解釈を巡る外交攻防が続いています。これにより、日中対話は停滞、紛争のエスカレーションリスクが高まっています。

5.日本の対応策と課題

日本政府は海上保安庁の能力強化に加え、自衛隊の新規装備導入や日米同盟の抑止力強化を進めています。特に早期警戒レーダーや水陸機動団(DG)の配置見直し、法整備による海保と自衛隊の共同運用の拡大を図っています。しかし、財源確保のためには社会保障を含む財政再建の課題も抱え、政治的コンセンサスの形成が難航しています。長期的視点での安全保障政策と財政政策の統合的運営が求められています。

6.国際協調と地域多国間枠組みの模索

日本は米国、オーストラリア、インドとの「クアッド」や、日英豪印の安全保障対話を通じて地域のパワーバランス維持を図っています。またASEANとの海洋安全保障協力や、EU各国との情報共有を進め、法の支配に基づく平和的解決を国際社会に呼びかけています。多国間枠組みへのさらなる参加と、法的裏付け強化を組み合わせることで、中国の一方的な行動に対する抑止力を高めることが期待されます。

7.歴史的教訓と今後の展望

経済停滞と安全保障上の課題はいずれも長期的視野と戦略的思考が必要です。「失われた20年」が示した政策の後手性を繰り返さぬよう、憲政史上でも異例の政策一貫性と実行力が問われています。石破政権には、経済・安全保障・外交を横断的に統合する能力が求められ、単発的対応ではなく、中長期のロードマップに基づく改革と国際協調を同時に進めることが急務です。

結論

「失われた20年」と尖閣諸島周辺での継続的な挑発は、日本の政策決定プロセスや外交・安全保障戦略が直面する根本問題を浮き彫りにします。経済再生には痛みを伴う構造改革と人口減少対策が必要であり、安全保障には法的・装備的基盤の強化と同盟国・地域諸国との協調が不可欠です。日本が直面する複合的危機に対し、総合力を発揮できるかどうかが、次の20年を左右する鍵となるでしょう。

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