トランプ大統領がG7サミットを初日で離脱へ、報道官は中東対応と説明
2025/06/17 (火曜日)
レビット氏はXで「トランプ大統領はG7で素晴らしい日を過ごした」と指摘。英国との貿易合意に署名するなど「多くを成し遂げた」とした。16日夜のG7首脳との夕食会後、会場を離れるという。
2025年6月16日(現地時間)、カナダ・カナナスキスで開催中のG7サミット会場を夕食会後に離れると発表したトランプ米大統領について、ホワイトハウスのカロリン・レビット報道官は自身のX(旧Twitter)アカウントで「President Trump had a great day at the G7, even signing a major trade deal with the United Kingdom and Prime Minister Keir Starmer. Much was accomplished, but because of what’s going on in the Middle East, President Trump will be leaving tonight after dinner with Heads of State」と投稿しました。報道官によるSNS発信は、現場の臨場感を伝える一方、公的発表との境界線が曖昧になるとの指摘もあります:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
カロリン・レビット(Karoline Leavitt)氏は、2025年1月にホワイトハウス報道官に就任。前職は共和党全国委員会のコミュニケーション副部長として保守派メディアとのパイプを築き、メディア対応を統括してきました。SNSでの速報性を重視する一方、情報統制の観点から「煽動的」との批判もあり、今回のX発信はその象徴的な事例といえます。
レビット氏が言及した「major trade deal」とは、トランプ大統領と英国のキーア・スターマー首相がG7会期中に署名した日英新貿易協定です。2025年5月に暫定合意した内容を正式化し、英国からの自動車・航空部品等の関税を段階的に削減。特に航空機エンジン部品の無税化や農産品の一部関税撤廃が盛り込まれ、両国の貿易額は年間約200億ドル増加すると試算されています:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
トランプ氏がサミット会場を早期に離脱したのは、イスラエルとイラン間の衝突が激化したためです。同日、大統領は自身のSNSで「Everyone should immediately evacuate Tehran!(テヘランの全員は直ちに退避すべきだ!)」と呼びかけるなど、中東危機への対応を優先する姿勢を示しました。ホワイトハウスは、エスカレーション防止と同盟国への配慮を両立させる難しい舵取りを迫られています。
トランプ氏はこれまでG7で複数の二国間会談を行い、カナダのマーク・カーニー首相、英国のスターマー首相らと鉄鋼・アルミ関税、気候変動対応、半導体産業政策などを協議しました。しかし、両国以外のゲスト参加国(オーストラリア、韓国、インドなど)との会合は見送られ、外遊先の未定会談が外交的「失態」と批判されたこともあります。
ホワイトハウス報道官がSNSで速報を流す手法は、情報の即時性を担保する一方で、記録としての信頼性や文脈の正確性を損ないかねない問題があります。専門家は「Xでの短文発信は誤解を招く恐れがあり、公式声明と同列扱いすべきではない」と指摘しています。
欧州連合(EU)は今回の貿易協定を評価しつつ、中東危機対応への米国の関与を注視。一方、ロシアや中国はG7の分裂を歓迎する声明を出し、地政学的緊張の高まりを狙った影響力拡大を画策しています。今後は、米英貿易協定の詳細な施行スケジュールと、中東停戦に向けた米国の次の一手が焦点となるでしょう。
レビット報道官のX投稿は、G7での成果として英米貿易協定の署名を高く評価しつつ、中東情勢への迅速対応を優先するトランプ政権の姿勢を象徴しています。情報発信の新潮流と外交判断の難しさが交錯する中、今後もホワイトハウスとSNSの関係から目が離せません。
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